キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 毎週木曜を含む週1〜2回更新

短期離職はどのくらいまで許容されるのか?【人事の本音】

転職してすぐに上司と致命的に相性が悪いことがわかったとき。
転職してすぐにもともと聞いていた条件と異なることが発覚したとき。
転職してすぐに法律違反が横行している職場だと判明したとき。 

 

応募中にわからなかった思わぬギャップのために、入社早々辞めたくなるケースは意外と多いものです。 

一方で「短期で辞めると”我慢のできない人材”とみなされて転職しづらくなる」といったことを聞いたことのある人も多いでしょう。

 

短期離職はどのくらい許容されるものでしょうか?スッパリと辞めてしまうべきか、踏ん張って残り続けるべきか?短期で辞めることはマーケットバリューにどの程度悪影響があるのでしょうか?

 

人事側の本音を語りましょう。

 

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大事なのは短期離職カードを意識すること

私は人事として元エージェントとして長年転職市場を見てきているのですが、今の市場感を言葉にすると 

「短期離職カードの許容する範囲でなら問題ない」

 

という感じなのです。ちょっと説明します。

 

じつは転職が一般化した現在、1社くらい短期で離職・転職してもさほど悪影響はありません。また2社ほど短期離職しても、間に長く続いた会社があればこれもあまり問題になりません。

 

つまり、多くの人の場合、1〜2回分の「短期離職カード」を持っていて、このカードを切ろうと思えば切れる状態だとイメージしてもらえばよいです。

 

どのくらいの期間で短期扱いになるのか

ところでこの「短期」とはどのくらいの期間をさすのでしょうか?

 

一般的にはIT業界などの転職が一般的な業界だと2年未満、その他の色々な業界の平均的な水準が3年未満といったところで、これを下回るとやや短いイメージをもたれます。

 

ただし2年11ヶ月と3年1ヶ月の間に大きな差があるわけではありません。

 

あなたの短期離職カードの枚数

「短期離職カードをどのくらい持てるか」は諸条件によって変動します。

 

たとえば下記の項目に該当する人はその分少し多めにカードを持っていると考えてOKです。

  • IT・ソフトウェア・医療などの人材の流動性が高い業界
  • 外資が長い
  • イノベーション関連の職種(プログラマーなど)
  • バックオフィスの職種(経理・人事など)

※イノベーション職種・バックオフィスの職種についてはこちら

ここにバックが入ってくるのは意外かもしれません。

 

以前に書いたように、バックオフィスの職種は昇進するためには状況が恵まれている必要があるため、意外と転職が一般化してきているんですね。

 

逆にカードが減る状況もあります。たとえば地方、特に保守的な土地では短期離職が受け入れられづらくなります。

 

このあたりはかなりケースバイケースです。余人をもって代えがたいスキルを持っている人なんかは5〜6回短期離職があってもどうということはないです。(迷うようならコメント欄で質問してみてください)

 

一般的には3社以上短期離職があると「黄色信号」といった感じで、マーケットバリューが下がりはじめます。

 

結果、年収が下がったり転職先が見つけづらくなったりします。

 

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ケーススタディ

では具体的な事例を見てみましょう。

事例 メーカー営業の山田さん(仮名)の場合

2010年4月
A社に就職(1社目)
2011年10月
A社を退職 ←勤続1年6ヶ月で退社
2011年11月
B社に入社(2社目)
2019年12月
B社を退職 ←勤続7年1ヶ月で退社
2019年1月
C社に入社(3社目)
2019年12月
C社を退職 ←勤続1年で退社

この方の場合、A社C社は短いですが間のB社が約7年と長めになっています。そうすると採用する側としては「この人はマッチすれば長く働ける人なんだな」という見方ができます。そこで面接でこの方が転職先に何を求めているのかをよく確認し、それが自社とマッチしていればA社・C社の短期離職があっても採用しよう、となるわけです。

 

このあたりは本当にケースバイケースなので、エージェントに相談するか、もしくはこのサイトのコメント欄で質問いただければと思います。

 

逃げの転職は悪くない

仮に今あなたが入ったばかりの会社を早くも絶望的に辞めたくなっていたとします。

 

こんな時、実際に辞めるかどうかは別にして、自分には1〜2回分の短期離職カードがあるんだと思えばちょっと気が楽になるのではないでしょうか。

 

ちなみに私は過度なストレスを感じているなら逃げの転職もアリだと思っています。

 

キャリア形成というのは約40年の長丁場なので、長期的にパフォームし続けることが大事です。そのためには潰れないことが何より大事です。

 

とりわけ今の職場に倫理的・コンプライアンス的な問題が場合は無理に居続けるべきではないでしょう。

 

慶大の教授でキャリア分野で有名な高橋俊介さんは「キャリアショック」という本の中で、昨今では会社が不祥事を起こしたとき、不祥事の手先として動いた社員を守らなく(あるいは守れなく)なってきている、ということを言っています。

 

なので(法律違反とか違反スレスレの)会社の都合や命令より、自分の職業倫理を優先させましょう、と。それが自分の身を守るとともに自分のキャリアにとってプラスになります。

 

様子を見るべきケースもある

短期離職せずに踏ん張って様子を見ても良いケースもあります。それは、

  • 上司や周囲の人間関係がストレスになっていて
  • かつ、その会社の離職率が高かったり頻繁な人事異動が起きている

ときです。

 

私の例ですが、人生最初の上司は顔を見るだけで胃液が上がってくる感じがするほど苦手な相手でした。

 

「これをあと何年続ければいいんだろう・・・」

 

と毎日ため息をついていたのですが、入社して1年半したところでその上司は地方拠点に異動していきました。こんなふうに離職率や異動の多い会社の場合、人間関係は常に流動的だと考えておきましょう。

 

(余談ですがその方はとにかく部下を理詰めしてくるタイプで、ひどい時は夜9時から2時間ツメられた記憶があるのですが、意外とそういうタイプって脆いところがあったりしますね)


3ヶ月未満の在籍なら書かなくても良い?

ついでに書いておくと、ネットを見ていると「3ヶ月未満の在籍の場合は履歴書に書かなくても大丈夫ですよ」なんてアドバイスを見ますがが、まぁやめておいた方がいいでしょう。

 

会社によっては外部調査会社を通じてバックグラウンドチェック(応募者の経歴・背景調査)をかけたりするので、それであっさりバレたりします。

 

ちなみに私の会社もバックグランドチェックをやってまして、以前そこの営業の人に話を聞いたことがあるのですが、細かい経歴詐称とか履歴書の誤りについては業種によるものの、平均すると7%くらいの割合で出てくるそうです。

 

あとは普通に知人経由でバレたりもします。バックグラウンドチェックを実施する会社は増えているようですので、履歴書・経歴書は正確に書いた方が良いです。

 

大事なのは新卒カードより短期離職カード

よく「新卒は最も自分を高く売れるチャンス、新卒カードを意識せよ」みたいなことが言われると思います。

 

ただ私に言わせれば自分を高く売って良い会社に入ったとしても、ミスマッチのリスクはあります。むしろ職歴がなく自分のことがよく分かってない新卒の時ほどミスマッチが起こりやすい。

 

 

したがって長期的なキャリア形成で大事なのは「新卒の時に完璧にマッチする良い会社に入る」可能性を高めようとすることではありません。

 

ミスマッチはそれなりの確率で起きてしまうという前提で、いかに「短期離職カード」を有効活用して軌道修正するかが大事です。

 

 

以下短期離職に関連したQ&Aの事例です。やむにやまれぬ事情で短期離職を繰り返してしまったとしても、転職を成功させる方法はあります。落ち着いて良い転職先を見つけたいですね。

 

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