基本的には30代以上のキャリアチェンジは難しいです。しかし方法がないわけではありません。ここでは30代以上でもキャリアチェンジを実現する3つの方法をご紹介しましょう。それは①「タテの拡張で動く」②「ジョブローテのある会社に潜り込む」③「人脈を使う」の3つです。
今回はこれら3つの方法を詳しく紹介しましょう。
目次
30代以上のキャリアチェンジはどのくらい難しいのか
本題に入る前に、実際30歳をこえたキャリアチェンジがどのくらい難しいか見てみましょう。
日本ではだいたい28歳をこえたあたりから「営業から経理」とか「購買から研究開発」とかといった職種カテゴリーをジャンプするキャリアチェンジが難しくなります。この点は以前にも下記の記事で触れました。
その難易度を数字で見てみると、2019年7月20日の時点で転職サイト・マイナビ転職上の求人数が10,442件あって、そのうち30代・未経験可の求人は66件だけです。割合0.6%。
しかも上記0.6%には「本当は20代を採用したいが、念のため30代も対象としている」ケースも含まれます。こういう場合は同じ求人に20代と30代が応募があれば20代が採用されます。
このように正攻法だと30代のキャリアチェンジは難しいのが現実なわけです。したがってこの状況を突き破るには少し正攻法以外の手段を考える必要がある。
方法1「タテの拡張」で動く
そこでまず有効な第1の手段がこれです。
同じ業界の中で、ビジネスの流れの川上から川下側、もしくは川下から川上側にうつるという方法です。
いきなりなんのこっちゃ、という感じだと思うので具体例を挙げると、
- 自動車業界で、完成車メーカーの購買担当(ミドルオフィス)から部品メーカーの営業担当(フロント)にうつる
- 人材採用業界で、転職エージェント(フロント)から社内採用担当(バックオフィス)
といった具合です。ちなみに2つ目は私の例です。
こういう、同じ商流の中の担当する部分を変えるような転職は今までやってきたことが生きるので実現しやすい。そういう意味では完全な未経験ジャンプというより、スライド的なイメージ。実感として、35歳くらいまでは割と実現可能性が高いですね。
ちなみにこのパターンを実現しやすいのは、①川下が強い業界で川上に移るとき と、その逆で②川上が強い業界で川下にうつるときです。
具体例を挙げると、
- 自動車業界は完成車メーカーの力が部品メーカーより強い。そのため完成車メーカー側の人脈とかニーズへの知見のある営業職は部品メーカーでニーズがあります。なので実現しやすい。
- 日本は少子高齢化で諸外国にくらべて売り手市場。なので企業は人材を探すノウハウを持っている転職エージェント出身の採用担当を欲しがります。なので実現しやすい。
というかんじ。
こういうパターンを私は「タテの拡張」と呼んでいて、これは後日かなり詳しく説明します。
方法2 ジョブローテの会社に潜り込む
文字通りの日本的総合職の場合、ジェネラリスト育成というお題目のため年齢無関係に職種変更が起こります。
私がむかし転職エージェントとして担当してた某メガバンクなんて、中年になっていきなりリサーチ部門から総務に異動になったりとか普通にしてましたからね。
これは日本的経営をまわしていく上での合理性があってやっていることなのですが、外国人に話すといつもびっくりされます。
話がそれてしまったんですが、自分が今の職種に行き詰まっていたり、明らかに向いてないと感じているなら、なんとかしてジョブローテの多いタイプの会社に入るというのが一つの解決策になりえます。
ただしこういう会社は基本的に狭き門なのと、ジョブローテの行き先は自分で選べないというネックがあります。ついでにいうと勤務地も選べないので色々とハードな部分があるのでそこまでおすすめしません。
なので、より現実的には次に紹介する3つ目の手段の方が有効なことが多い。
方法3 人脈をつかう
それが人脈を使うというやり方です。
古今東西、「社長さんが愛人を無理やり秘書にしちゃう」みたいな話ってありますけど、個人的な人間関係ってマーケットの論理を超越するんですよね。
もう採用マーケットをウォッチするようになって久しいですが、これは昔からそうです。
特に社内公募制度とか自己申告制度を活用して職種ジャンプする際に、積極的に人脈づくりをしてそれを活かして動くことを考えるべきです。
キャリア論で有名な高橋俊介さんはこれを「布石を打つ」という風に表現していて、「キーパーソンに日ごろから自分の問題意識をぶつけておくことは、大きな布石になる」(*)と言っています。
最近もウチの会社で、社内公募で36歳で秘書から薬事申請というメディカル系の専門職にキャリアチェンジできた人がいてぶったまげたんですが、私はこれ応募しても無理筋だろうなと思ってたんです。
ところがその人の社内の評判がよく、異動先のマージャーとも仲が良かったので結局合格しちゃいました。
こういうのは普通の転職マーケットのロジックからは逸脱するし、必ずしも合理的とは言えないのすが(仲がいいことやその人の人柄が良いこととその職種で成功するかどうかは別ですので)、人間は感情が絡むと不合理な判断をします。
なので、これはキャリア形成の様々なセオリーについて言えることですが、そういう不合理をつくことで有利に動くことができます。
ちなみに上の高橋俊介さんの引用で、「自分の問題意識をぶつけておく」というのがでましたが、これは社内でさりげなくできる自己アピールとしては有効ですね。
行きたい先の部署のマネージャーにうまくさされば「こいつを自分のチームにいれて一緒に問題点を変えてやろう」みたいな展開にもっていけるので。
まとめ
ということで、28歳を超えると多少ハードモードになるので、オススメはあくまでそれまでにマッチした職種を選んでおくことなのですが、戦略的に動けばその制約を乗り越えることもできます。
職種とのミスマッチに悩んでいる方の助けになれば幸いです。
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*高橋俊介著「キャリアショック」から引用