キャリア形成には広く有効な戦略や定石があります。これはそうしたセオリーを解説するためのサイトです。
戦略や定石を知ることで、就職や転職、異動といったイベントにつきものの不安を解消し、自信を持って意思決定することができます。
年収アップであれ仕事のやりがいであれ、満足度の高いキャリアを実現している人たちには一定のパターンがあります。
私は転職エージェントや外資系採用マネージャーとして、膨大な数の人の「キャリアについての意思決定」を見てきました。
その経験から「通常このケースだとこう動くのが良い」といった定石が分かります。これは経験のある転職エージェントや採用担当者であれば多くの人が知っているようなことです。ただそれらはあまり言語化されていません。
特に就職・転職・社内異動(*1)といったテーマについては、実はかなりはっきりしたセオリーがあります。
なぜか?それは就職・転職市場(ジョブマーケット)も価値と金銭が交換されているという意味で結局は市場(マーケット)の一種だからです。
そのため、
- ジョブマーケット特有の市場特性を知る
- その上で基本的なマーケティングのセオリーにのっとって動く
- 能力開発のセオリーに基づいて、自らの商品価値(=マーケットバリュー)を高める
このステップを繰り返すことで、ジョブマーケットにおいて極めて優位に立つことができます。
このブログではこうしたキャリア形成のセオリーやジョブマーケットの知識を紹介します。
セオリーはキャリアについての不安・恐怖に立ち向かう武器になる
面接などでたくさんの人に「これまでどんなキャリアに関する意思決定をしてきたか」を聞いてきましたが、失敗事例の半分くらいはこんな感じです。
- 景気後退で会社の業績悪化が目に見えている。でも転職はまだ早い気がするので見送った。(結果、不景気のど真ん中で転職活動をするハメになった)
- 上司に海外子会社への異動を打診されたが自分にはまだ早いと思って断った。(今考えるとあの時チャレンジしておけばよかった)
- 興味ある部署の社内公募が出ていたが、現部署を離れるのも怖い。そうこうしているうちに公募が終わってしまった。(あの時のような公募がでないか待ち続けて早数年)
要は棚上げ型、あるいは「意思決定をしないという意思決定」による失敗です。
どうしてこういった行動パターンをとってしまうのか。近年注目を集める学問領域のひとつ、行動経済学によれば多くの人は「現状維持を過大評価しがち」「変化によるリスクを過度に見積もりがち」とされています。
こうした現状維持・リスク回避志向が多くの人の行動パターンを縛っており、結果的にキャリア上の失敗を招いています。
しかしこうした心理は、セオリーを知り変化による影響を予想できるようになることで改善できます。知識は人を変化に対して強くさせます。
会社にいてもキャリアについてのノウハウは身につかない?
多くの場合日本の会社にいると、良くも悪くもキャリアについて考える必要があまりありません。ノウハウもたまりません。
なぜかというと、多くの企業では人事制度上、社員ひとりひとりのキャリアパスを会社主導で決めるしくみになっているからです。
日本では法律上簡単に解雇ができません。そこで、「不振のA事業部を閉鎖する」「人員余剰の間接部門を縮小する」といった時には、”総合職”の名のもとに会社命令で異動させる必要があります。
つまり会社側は人事権を手放せないわけです。
この前提があるために、日本では長らく
- 会社が辞令を出し
- 社員はそれに従う
という慣行が続いてきています。
(特に新卒採用時は社員の希望なんかロクにきかない会社が多いですね)
この仕組みに浸かっているいると、キャリアについて自律的に考えないクセがついてきます。あくまで仕組みの問題です。
結果、9割以上の人は戦略不在のまま漠然とキャリア形成してしまいます。これは本来怖いことです。
信頼できる相談相手もいないからこそ、知識をつける必要がある
さらに多くの人には、就職・転職といったトピックについて信頼できる相談相手がいません。
同僚相手には相談しづらいテーマですし、かといってプライベートの友人とは業界や置かれた状況が違いすぎて理解してもらえないものです。家族に至っては足を引っ張られるケースさえ散見されます。
また別エントリーでも書いていますが、転職エージェントも往往にして良い相談相手になってくれません。
結局、キャリアは自分の持てる知識と知能を駆使し、自ら積み重ねるしかないものなのです。
このブログでは、私が採用マネージャーや転職エージェントとして見てきた数多の事例から抽出した、なるべく再現性の高いセオリーをお伝えします。
(*1)
「社内異動は採用市場関係ないのでは」と思うかもしれませんが、現在大企業や外資系企業では社内公募制度によって“社内転職マーケット”とでも呼ぶべき状況が生まれつつあり、この傾向は拡大してくと見ています。
※このサイトでは分かりやすさを重視します。キャリア形成の世界ではしばしば例外的にセオリーから外れた選択肢が正しかったり、セオリーが当てはまらない状況が発生します。そういった例外についても可能な限り注釈等でフォローしていきたいと思いますが、全ては難しいかもしれません。その点はあらかじめご了承ください。