ロシアの文豪・トルストイの小説「アンナ・カレーニナ」に
「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」
という一文が出てきます。
私はこれを見るたびに就職・転職も同じだなと感じるんですね。
就職・転職に失敗すると大抵はミスマッチだったね、というような言われ方をされますが本当にそうなんでしょうか?
就職・転職は席配置ひとつで失敗したりする
私自身たくさんの人を採用し、自社でうまくいく人・うまくいかない人いずれも数多くのパターンを見てきました。
で、うまくいかずに短期で会社を離れてしまうケースを見ていると、かならずしも会社とか職務内容に対してミスマッチだったと言い切れない場合が目に付くわけです。
むしろ周囲の環境に恵まれていればうまくいったのでは?なんて思うケースが多い。(そういうケースを見るといつも人事として対処してあげられなかったことを残念に思います)
たとえば、多くの場合、欠員補充ために中途採用する場合、入社する人には(あまり深く考えずに)その欠員で空いてる席を使ってもらうケースが多いと思いますが、それは本来正しくないです。
新しく入社する人がスムーズに立ち上がれるよう、新人教育になれた人であったり、その人のパーソナリティと相性の良さそうな人を近くに配置するなり考えるべきなのです。
逆に、せっかくとった人が「話しかけるなオーラ」を出している人達に挟まれた状態で業務をスタートしたとしたらどうでしょうか。能力の高い人であっても立ち上がるのに時間がかかったり、あるいは立ち上がらずにくじけてしまって退職することすらありえるでしょう。
こんな風に、うまくパフォーマンスを発揮できずに退職となってしまった場合、会社側はそれを「その人が」マッチしなかった、「その人の」能力が不足していたという風に、入社者本人を主語にした理由付けをする傾向にあります。というのもサポート不足というのは最終的に会社側の責任(=偉い人の責任)になってしまうので、あまり認めたくないからです。
もちろん実際にそういうケースもあるでしょうが、実際には本当にその人の能力が不足していたのか、それとも周囲から適切なサポートを得ていればうまくいったのか、その判別ってとても難しいです。
冒頭に書いたように、転職失敗につながるようなきっかけは無数にあります。そうした「落とし穴」を回避するためには経験と少しの運も必要なのです。
就職・転職に失敗した時の心構え
もし自分自身が転職失敗の当事者になってしまった場合はどういう風にそのことに向き合えばいいのか。
失意とともに会社を離れるのであれば、原因分析して一度反省しておいた方が次に活かしやすいのもたしかです。
一方でさきほど書いたような席配置の問題じゃないですが、自分でコントロールできない要因については切り離して考えましょう。
たとえ一度や二度転職に失敗しても過度に卑下して自己肯定感を失うよりも、客観的な原因分析とともに前向きに次のステップに進むことが大事です。
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