秘書はやりがいのある仕事である一方、今後世の中の絶対数が減るだろうと言われています。
今回はそんな秘書において、これからの時代を生き残るためのキャリアパス戦略と転職の仕方について解説します。
私はこれまで採用マネージャー&転職エージェントとして多数の秘書職の方々の転職にたずさわっています。その経験をもとに具体的な提案をしていきたいと思います。
【目次】
- 秘書を取り巻く状況は厳しい?
- ①キャリアチェンジ戦略ーそもそも秘書をキャリアに軸するかどうかを考えよう
- ②キャリアの拡張戦略
- ③高付加価値型の秘書戦略ー秘書のプロとして市場価値をどう作っていく?
- ところで:ワンランク上を年収を目指すためには?
- 転職戦略とおすすめエージェント
秘書を取り巻く状況は厳しい?
「今後秘書って食べていくのが厳しくなるのって本当ですか!?」
といった相談、私もときどき受けることがあります。こればかりは世の中の流れですから私も分かりません。ただそういう予測が多いのも確かです。
たとえば秘書の仕事の一部は今後AIやITツールで置き換わるという調査結果があります。
"今後AIに代替されると予想する職種として、「経理・財務・会計系」「秘書・アシスタント・一般事務系」という答えが40%を超えた。"
10年後「AIに取られる」仕事ランキング | PRESIDENT WOMAN Online(プレジデント ウーマン オンライン) | “女性リーダーをつくる”
たとえば、出張の手配、スケジュール管理などの大部分はAIに代替されるでしょう。
とくに現在20〜30代の比較的若い秘書職の方々は、世の中の秘書の総数が減るという前提でどう生き残るかを考えるべきです。
そこで、私が採用マネージャーとして100人以上の秘書の方々を見てきた中でのおすすめキャリアパスをフローチャートにしてみました。
ということで、この①〜③それぞれについて、もう少し詳しく解説していきましょう。
①キャリアチェンジ戦略ーそもそも秘書をキャリアに軸するかどうかを考えよう
まず、まだ20代だったり、30代以上でも過去秘書以外の業務経験があるのであればそもそも秘書からのキャリアチェンジが選択肢に入ってきます。
特に秘書としての適性に自信がない場合や、秘書の仕事があまり合わないと感じているなら早めに他の仕事に乗り換える方が良いでしょう。
秘書はいわゆるソフトスキル(コミュニケーション能力や先回りする能力など)が重視される職種なので、向き不向きがでやすいです。
以前わたしがエージェントにいた時に、新卒3年目から4年間秘書をされていて「秘書を続けたい気持ちもあるけど、部長と話すたびに緊張で真っ赤になってしまうので向いてない気がする...」という20代の女性がいました。その方はそのあと総務にキャリアチェンジして以前よりストレスが減ったと話されていました。
秘書からキャリアチェンジしやすい職種としては以下のようなものがあります。
・営業事務などの事務職 (→参考:営業事務のキャリア解説)
・総務
・広報
また若い方であれば営業など全然違うポジションにトライすることも可能です。
向いてないなら縮小するマーケットで勝負するのを避け、今後成長するであろう土俵にうつっていくことを考えても良いと思います。
②キャリアの拡張戦略
「基本的に秘書は好きなんだけど、ちょっと他のこともやりたいなぁ・・・」という方は、秘書を含めた雑多なバックオフィス業務をまとめて担うタイプの仕事を狙いましょう。
キャリアを横に広げると食いっぱぐれにくくなりキャリアに安定感が出ます。
こういう「なんでもやる系の秘書」はベンチャー・中小企業・小規模外資に多いタイプの仕事です。仕事内容はまちまちですが、経理や人事事務、広報なんかもまとめて担当するケースもあります。求人サイトでは「総務兼秘書」とか、外資なら「オフィスマネージャー」という名称で募集されていることが多いです。
この手のポジションは小規模の会社が多いのでその点は好き嫌いが分かれますが、その分自分が会社を支えているんだ!という実感を持ちやすいですね。
【キャリアを横に拡張していく】というのは大事な考え方です。下記の記事で詳しく解説しています。
プロが教える、絶対食いっぱぐれないキャリアの作り方:【拡張】で生き残る
③高付加価値型の秘書戦略ー秘書のプロとして市場価値をどう作っていく?
秘書の仕事にフォーカスしたい、この領域を極めたいという場合は、前述した秘書マーケットの縮小がありますから、どう市場価値をつけるかを考える必要があります。ここでは3つの方法を紹介します。
市場価値の作りかた1:差別化する
秘書はパフォーマンスの良し悪しを数字等の客観的な物差しで測定しづらい職種です。そこで市場価値を高めるには差別化が大事になります(詳しくは下記)。
具体的な指針としては、秘書としての基本的スキルに加えて、プラスアルファとなるスキルを身につけると良いです。
このプラスアルファによって、経営者等の苦手分野を補える秘書になれれば市場価値が生まれます。たとえば語学やIT、オフィススキルなどが高ければレジュメにも書けます。
市場価値の作りかた2:情緒価値(≒コミュニケーション力)を高める
また、秘書の仕事の一部はAIで代替されると書きましたが、そうならない仕事もあります。下記の記事で解説した、「情緒価値」のある仕事は将来もなくならない職種です。
これはつまり、たとえば管理職と一般社員との間にたって色々調整するための高度なコミュニケーション能力などです。
こういう能力は面接でチェックされます。なので面接ではエージェントに面接傾向をよく聞き対策することで突破しやすくすることができます。
社長秘書であればウェブサイトやインタビュー記事なんかからも社長のキャラクターを予想できるはずです(ただしあまり作り込みすぎると入社後のミスマッチにつながるので、ほどほどにしたいですね)。
市場価値の作りかた3:エグゼクティブ秘書を目指す
大企業になると、秘書にもヒエラルキーがあります。要するにこんなかんじです。
今後世の中全体で秘書の総数が減る場合、やはり下位から無くなっていきます。なのでなるべく社長・役員といったエグゼクティブ系の秘書経験を積むと生き残りやすくなります。
エグゼクティブ系の秘書の方々はみなさんかなりの頭の回転の速さ・コミュニケーション能力・気配り力などがあります(その分年収も結構高いです)。これは割と向き不向きがでます。
ところで:ワンランク上を年収を目指すためには?
さて生き残る方法を中心的に解説してきましたが、ついでの積極的に年収アップを狙う方法も書いておきましょう。
秘書は典型的なバックオフィスの仕事なのであまり高い年収は狙いにくいです。とはいえそれでも外資・金融・コンサルなどのエグゼクティブ秘書ですと600〜800万円強までは結構普通に狙うことができます。
上記に該当しない企業の方に言われると割とびっくりされるんですが、外資系のエージェントが出している給与調査を見ると実際にこういう数字が出てるがわかると思います
ただしこういった業界はストレス耐性とハイレベルな実務能力が大事になります。また金融などは同業種の経験があるかを見たりしますので、30代くらいまでの間に金融業界に足を踏み入れたいですね。外資もそうです。
スキル面では英語力、特に会話力はやはりあると重宝されやすいですね。
転職戦略とおすすめエージェント
秘書採用では書類選考で最低限の足切りをしたあと、まとめて面接をして絞り込んでいくという手法がとられます。
これは結局サポート対象となる方との相性が大事な仕事だからです。また上述したように秘書はソフトスキル重視の職種で、ソフトスキルは面接でないと分かりづらいという理由もあります。
応募方法についてはリクナビやエンなどで自分で案件を探していっても問題ありません。秘書は案件が掲載されていることが多いです。面接対策に自信がなければエージェントを通すとよいです。秘書でおすすめのエージェントを挙げておきます。
パソナは派遣会社が母体ということで昔から秘書系に強いですね。案件数は結局リクルートがダントツだと思います。
MSは管理部門に特化しているので、たとえば秘書と一般事務、秘書と総務みたいな感じでバックオフィス系で色々な選択肢を考えたいケースにおすすめですね。
ロバート・ウォルターズは外資でとにかく案件を紹介してもらいたい場合に良いと思います。ただし英語力必須です。またここは時間経過とともに紹介案件数が急に下がっていく印象があります。
参考にしてみてください。