キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 現在は不定期更新

人事のキャリア形成・転職を解説【3つの領域で生き残る】

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今回は人事の転職に有効なおすすめエージェントと、その前提となるキャリア戦略を解説していきたいと思います。

f:id:career-yoshinashi:20211120171827p:plain【筆者について】私は元エージェント&現職外資系採用マネージャーで、日々最前線でキャリア形成についての情報収集をしています。そのノウハウをたっぷり詰め込んで書いていきたいと思います

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【目次】

人事の特性について

人事はバックオフィス系の職種です。バックオフィスは基本的に、

・業界をまたいだ転職をしやすいので食いっぱぐれるリスクが低い
・転職回数はその分増えやすい(比較的問題にもなりづらい)

・成果を数字でアピールしづらいため、ネットワーク(社内の評判)が評価に影響する

といった特色があります。このあたりの特色は最低抑えておくと良いです。詳しくは下記エントリーをごらんください。

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20年後も生き残るために、人事に必要なスキルとは

これを踏まえて、まずは人事系の人であれば概ね共通認識になっているであろう点を確認しておきましょう。まず、人事=事務職というのはもはや過去のモデルになってきています。単なるデータ入力は大連など海外にあるサービス業社の外国人労働者やAIに代替可能になりました。

 

すでに現在給与計算(ペイロール)は国内外にアウトソーシングする会社が無数にありますが、おそらく20年後にはRPA(Robotics Process Automation、コンピューターによる作業自動化)による代替が進行するはずです。

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すでに給与系のパッケージベンダーはAIによって入力業務を簡易化できるように進化してきています。今はこういうAIを組み込んだパッケージも値段が高いため、投資余力のある大企業だけが取り入れられる状況ですが、今後価格も下がっていきます。

 

逆にいえば、実は地方の中小企業なんかでは、向こうしばらく給与・社保系の事務職が残り続けるでしょう。ただしそれはジリ貧のキャリアなので、特に若い人にはあまりお勧めできないですね。ではAIにも外国人に代替されない領域はどういう領域でしょうか?

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機械などに代替されない人事領域とは

それをここでは3つ挙げておきます。

【今後も必要とされる人事の3つの領域】

1創造性が必要とされる部分 

2人の情緒に関わる部分 

3法律とか判例の理解、人事慣行の理解が必要な部分

1創造性が必要とされる部分 

経営に近いシニアマネジメントの人事パートナー業務など。人事・人材戦略の立案が求められ、戦略性とか創造性が必要になります。

2人の情緒に関わる部分 

採用の内定面談、退職してもらうための面談、労働組合や従業員代表との折衝など。こういうのを機械がやると味気なすぎて失敗しますから、人間の仕事として残ります。

3法律とか判例の理解、人事慣行の理解が必要な部分

法律関係の文章は難易度が高く、外国人に理解が難しい。そういう理由で、人事のとくに労務に関する部分は外国人が担うことがとくに難しい領域です。

 

このように人事はこれから創造性とコミュニケーションの職種になっていきます。

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このところ外資人事の世界でこの20年ほどのあいだに進行した、HRBP(人事ビジネスパートナー)を起点とした人事部門の再編成の波が現在日系企業にも押し寄せています。

 

今は大企業が中心ですが今後この動きが中小企業にも波及するでしょう。逆にこの3つ領域でスキルがあれば、上記のバックオフィスの特性もあいまって相当食いっぱぐれない安定した職種といえます。

 

さてここまでを踏まえて、キャリアをどう作るかを考えてみます。

絶対食べていけるキャリア戦略

ではどうすれば食いっぱぐれないか。基本的な指針は【キャリアの拡張】と【強みの獲得】、この両者の最適化です。

 

まず人事のなかで採用・研修・制度といった各領域のなかで、複数領域をできるようになりましょう(専門性の拡張)。これで一気に潰しが効きやすくなります。当たり前ですが、単純に採用だけできる人・研修だけできる人にくらべて、両方経験がある人は応募できるポジションが倍近くなります。

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その上でとくに自分の強みだと言える領域を確立するとよいです。強みへの特化です。

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この、専門性拡張強み特化のバランスのとれたキャリアは市場価値が高く生き残りやすいです。

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個人的には中途半端なジェネラリストになるより、強み領域+1〜2のサブ領域があるくらいが一番市場価値を出しやすい感じがします。

 

また人事はレジュメ上数字で成果をアピールしづらい職種です。そこで強み領域については差別化できるスキルがあることが大事になります。

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具体的にはたとえば、

・システム関連のスキルや経験
・ベンダー側(研修会社やシステム開発会社、人材紹介会社など〕での経験
・突出した英語力

といったスキルは有効ですね。

たとえば私(外資系採用マネージャー)の元同僚で、もともとシステム会社で人事系システムを担当していて、30代以降に人事になった人が何人かいます。このパターンは常にニーズがあるのでめちゃくちゃ市場価値が高く、高額年収を得ています。

あるいは徹底的なジェネラリスト化する、つまりフルスタックHRをめざすのも市場価値が出ます。特に急成長しているスタートアップで求められるタイプです。差別化については以下の記事も参照してください。

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人事の転職戦略

ここまでを踏まえて、転職戦略を考えてみましょう。ポイントは、
①現在自分に欠けている領域を客観的に把握する
②どういう経験を積めば特化と拡張を最適化できるか分析する
③その経験をドンピシャで積めるような業務内容になっているポジションに応募する
という点です。

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転職の際には上記のような点がポイントになります。したがって、エージェント選ぶ際には、

・人事のキャリアについてちゃんと理解がある
・企業側とのパイプが太い...自分が求める業務内容と求人がマッチしているかどうかは転職サイトの求人票だけ見てもよくわからないことが多いので、企業側とのパイプが太いエージェントを選ぶ

という点がポイントになります。そこで私の経験からこの条件をある程度満たす会社を3つ選んでみました。(他にも思い出したら追記します)

リクルートエージェント
MS-Japan
JACリクルートメント 

の3社です。

なお私のエージェント紹介の際のポリシーはこちらをご参照ください。この3社はそれぞれカラーはちがいますが、全体的には非常にマトモです。

ちなみに最近、現役エージェントの元上司にも意見をきいてみましたが、その方も最有力3社について完全に私と同じ意見でした。

 

この3社を私の過去の経験から上記の二軸でプロットしたのが下のチャートです。

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リクルートエージェント

案件量がやはり圧倒的に多いのが特徴です。一方で結構社内の人事異動が多く、コンサルタントの中に人事領域の経験の少ない人が一定数でてくる印象です。またエージェント内で企業担当と人材担当が分かれているので、企業とのパイプが弱い傾向にあります。このあたりはJACとは対照的です。ただここは基本的にビジネスパーソンととして能力の高い人が多く、こうした弱点がそこまで致命傷にならないですね。最大手の強みという感じです。

→私による解説はこちら

→公式サイト 【リクルートエージェント】

MSジャパン

管理部門に特化しているエージェントだけあって、人事系のキャリアへの理解度は非常に高い人が多いです。ただしどちらかというと渋い中堅エージェントで、その分案件量は若干劣る感じです。ここも企業担当と人材担当が分かれています。その分企業とのパイプは若干弱いのですが、リクルートほどは人事異動が頻発しないので人によっては強いパイプを構築してたりします。

→私による解説はこちら

→公式サイト 【MS-Japan】

JACリクルートメント

JACといえば外資という印象が強いですが、実は日系企業の求人もたくさんもっています。ただし年齢は30代以上で、比較的高年収帯の求人ばっかりですね。その分求人量は少なめとしました。逆に言えば30代以上の人ならもう少し求人量が多くなります。またここは企業担当と人材担当が分かれていない(業界で一気通貫などと呼ばれます)ので、企業の内情をよく理解した担当者と直接話せ、パイプの強さは一番です。

→私による解説はこちら

→公式へのリンク 【JACリクルートメント

登録の組み合わせ方法

登録の仕方は基本的にリクルートエージェントと、年代によってMS-Japan(20代)かJAC(30代以上)を組み合わせて2社程度、というのがいいのではないでしょうか。

外資狙いの場合はまた少し違ったセレクションになりますので、それはこちらの記事で解説しています。

 

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

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