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MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 現在は不定期更新

アジアでのMBAの費用を解説(2020版)

アジア・中国のMBAは比較的コストを抑えられるのが魅力です。また成長するアジア圏について理解を深められたり、人的ネットワークを築いたりできます。コロナ禍下の現況ではやはり海外留学は当面実現しづらい見通しですが、今から貯蓄して留学に備えたい!という方に向けて、アジアの有力MBAにかかる学費と総費用を解説しました。

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アジアのトップ校、具体的には

ひと昔前は、MBAといえばなんと言ってアメリカと、INSEADやIMDなど一部のヨーロッパのスクールだけが一流で、アジアの学校はワンランク下みたいな風潮がありました。ところがグローバル経済におけるアジアの存在感の高まりとともにこういった風潮も消えつつあり、各種ランキング上位にも多くのアジアのビジネススクールが顔を出してきています。

 

そんな中で今回は、2019年Financial timesのランキング上位の下記5校に留学した場合の学費や費用を調べたいと思います。

5位 Ceibs【中国】

17位 National University of Singapore Business School (NUS)【シンガポール】

18位 HKUST Business School 【中国(香港)】

24位 Indian School of Business【インド】

30位 Nanyong Business School【シンガポール】

もちろん他にも良い大学がたくさんあるのでぜひいろいろ見てもらえればと思います。また今回は取り上げませんでしたが、国内にもグローバル水準で良い評価を得ているコースがあります。 

まずは総費用から

一口にアジアといっても選ぶ国や学校により費用が大きく異なります。アジア・中国へのMBA留学にかかるトータル費用は、2020年10月現在のレートでは最も安いインド(IBS)で渡航前・渡航後全てふくめて600万円くらい、シンガポール・インドのトップ校で800〜900万円程度、最も高い香港(HKUST)では1000万円オーバーとなりました。

 

なお上記金額はあくまで全て自費で賄った場合で、実際は奨学金などを活用することでもっと安くあげることもできます。奨学金についてはたいてい学校ごとの学費情報(Fee/tuition)に記載があります。以下の国ごとの解説記事に学校ごとのリンクを貼っておきましたのでそこから調べてもらえたらと思います。

 

なおこの5校については上海のCIEBSのみ1年半、あとはすべて1年制のプログラムがデフォルトになっており、以下の金額もこの前提で記載しています。

準備費用

主にTOEFLとGMAT対策および受験費用です。こちらは欧州MBAの記事に詳しく書いたのでそちらをご参照ください。基本的に必要な金額は似たような水準です。結論だけ書いてしまうと、

●安く上がった場合:TOEFL受験料2回(5万)+GMAT対策費用(20万)+GMAT受験料2回(54000円)=30万くらい
●やや高くついた場合:TOEFL対策費用(30万)+TOEFL受験料5回(125000)+GMAT対策費用(35万)+GMAT受験料5回(135000)=90万くらい

というのが一般的な準備費用ではないかと思います。

渡航非用

当然国によりますし、LCCなども活用すれば安くあがります。

たとえば上記5校の中で最も近い香港なら往復4万円などもあります。Indian School Businessがあるハイデラバードだと片道でも時期により6~15万円くらいですね。

 

学費・生活費

中国(メインラインド)編:CEIBS

学費 

2022プログラムでRMB 438,000(約690万円)でした。

Expenses & Financial Aid | CEIBS

1年半のプログラムということを考えると比較的安いですね。ヨーロッパにやはり1年半程度のプログラムを提供している学校がいくつかありますが、それらはおおむね1000万円前後の費用負担になっています。それと比較すればまだだいぶ現実的な金額といっていいのではないでしょうか。

生活費

ここは寮を借りることができ、家賃および水道光熱WifiコミコミでRMB3,000(4万7000円)です。これで仮に自炊中心で食費を抑えれば月1〜2万くらいのイメージなので、月6〜7万、1年半で120万円前後かなと思います。

なお近年は上海も物価が高騰しており、学生寮を借りず自分で部屋を借りる場合の家賃は東京と同程度という情報が多いですね。上海はもやは世界的な大都市なのでそんなものでしょう。

なおCEIBSの場合、1年で卒業できる1Year programも用意されおり、こちらだともう少し総費用を安く抑えることができますね(詳しくは同校のHPを参照)。

総費用

ということで合計費用は1年半で800万程度になると思います。 

シンガポール編:NUS・NBS

学費

学費はどちらも似たような金額で、

NUSはSGD 68,000 (約560万円)、NBSはSGD 75,000(約580万円)となっています

 

Tuition Fees & Payment Schedules - The NUS MBA

MBA Fees | Nanyang Business School - NTU Singapore

 

生活費

物価世界一の大都市なので、基本的に物価は高め。いろいろ調べると単身で15万円〜20万円くらいかかるケースが多い模様ですね。寮などはなさそうです。

 

総費用

ということで渡航後の総費用は学校やライフスタイルにより760万〜820万といった金額となりました。数年頑張って貯めればどうにかなる金額ではないでしょうか。

香港編:HKUST

学費

こちらも1年制プログラムです。 気になるお値段は HK$588,000 (2021 intake)(約795万円)です。かなり高いですね。ヨーロッパの上位校と変わらない水準です。

Tuition and Financial Aid | HKU MBA

 

生活費

同校は平均的な生活費も載せてくれています。これによると1ヶ月の生活費はおおむね、HK$15,500(約21万円)です。うちわけはこんな感じです。

Accommodation 8,000
Food 4,500
Transportation 1,000
Miscellaneous 2,000
Total Monthly Spending 15,500

目を引くのが家賃の高さで、さすが世界有数の人口密度を誇る都市ですね。

 

総費用

ということで渡航後の総費用は1,047万円(年)となりました。これはちょっと全て自腹だとつらい金額かもしれません。

インド編:Indian School of Business

最後はインドのISBです。こちらは学内宿泊施設を利用した場合の費用を詳しく記載していて、それによると、
Shared accomodation(ルームシェア)INR 35,98,940 (約500万円)
Studio accomodation(一人部屋)INR 37,48,800(約530万円)
とこれまで見てきた中では群を抜く安さになりました。

これに食費を含む諸経費がかかりますが、それでも550万〜600万程度で十分でしょう。

インドというとなんだかイメージしづらい方も多いと思いますが、同校HPを見るとなかなか充実したキャンパスライフを送れそうです。

まとめ

いかがでしょうか、最安のパターンでもかなり厳しいという人も多いかもしれません。ただし計画的に準備すれば各種奨学金などで費用を抑えることも可能です(これは学校のHPにだいたい記載があります)。私はヨーロッパに留学しましたが、様々な形で節約することで一般的に言われるよりはだいぶ出費を抑えることができました。その後の年収アップを考えれば十分に経済的リターンも得られているように思います。

 

MBA留学はとにかく資金面の計画性がカギです。2〜3年先を見据えた計画づくりをすれば実現可能性が高まると思います。 

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