ロジスティクスの仕事はサプライチェーンの国際化に伴い重要性を増している印象があります。今日はそんなロジスティクス職のキャリアパスと転職を絡めた市場価値の高め方について、専門家視点で解説します。
(筆者のプロフィールはこちら)
ロジスティクス担当者が市場価値を高めるコツ
ロジスティクスは典型的な「特化と拡張の最適化」によるマーケットバリュー向上が狙える仕事です。
「特化と拡張の最適化」について詳細はこちらの記事を見ていただければと思います。要は「専門性と幅の広さのバランスがとれた、T字型のキャリア形成をしよう」ということです。
ではロジスティクスの場合にどうやってこれをやっていけば良いかを考えましょう。
特化:「単なるロジの専門家」を超えて
まずはロジのプロとしてどう市場価値を築くか(特化)です。
ロジスティクスはある程度数字で成果を測定できるので、わかりやすい実績を作れば職歴書でアピールしやすい仕事です。たとえばコスト削減金額とか、在庫回転率とかですね。こういった目を引く数字で書類選考を通過させ、面接で具体的な工夫・取り組みを話すことができればすぐに内定を得られるでしょう。
ほかにも数字では評価できなくともレジュメで客観的な実績として書ける成果があると良いです。たとえばメーカーでの3PL化の実現、ERPの導入などはニーズも大きく魅力的ですね。
またロジはミドルオフィスの仕事なので、業界経験があると少し有利に働きます。たとえば食品物流であれば衛生管理や温度管理が重要で、これはこの業界特有です。ほかにも業界によって主要な輸送手段も異なります。たとえば私の会社は医療用のデバイスを取り扱っているのですがスピードが重視されるためエアしか使いません。
このように同じロジでも業界ごとにオペレーションが異なるため、特に40代以降は特定の業界に精通しておくと高年収を狙いやすくなります。
将来性がある、収益性が高い、あるいは不況に強い業界を見つけてその業界の物流のプロを名乗れるようになれば食いっぱぐれないでしょう。
またメーカーからベンダー、ベンダーからメーカーの転職はいずれも成功すれば自分のキャリアを差別化することができるのでうまく活用するとよいですね。特にベンダー→メーカー側への転職経験者はベンダー経験を生かして業者との交渉を強力に進められるので評価されます。
市場価値を高めるためには他にもいろんな切り口があると思います。最近重視される環境負荷削減に強いロジのスペシャリスト、なんていうのも面白いですね。
いずれにせよ単なるロジのプロ、ではなくて「◯◯が強みのロジのプロ」「◯◯に詳しいロジの専門家」を名乗れるようにできると良いです。T字のタテ部分が伸びていきます。
具体的な方法論はほかにもたくさんありますのでこちらもご参照ください。
拡張:サプライチェーン全てをみられるようになると市場価値が爆上がり?
拡張とは自分の専門領域を近い分野・関連する分野に広げることです。ロジスティクスでいうと近い分野といえば、たとえば生産管理・デマンドプランニング、購買・調達、システムなどですね。
日本では半端なジョブローテの結果、はやり半端にしか拡張できていないケースが多いです。このため、ロジ領域を明確な強みにしつつサプライチェーンの全領域を見られるようになれば市場価値が物凄く高まります。
そこで以下のようなポジション・会社があれば積極的に応募していくと良いと思います。
- 生産管理や購買の経験が積めるポジション
- 社内公募で上記のようなポジションへのキャリアへの道が開ける会社
- ロジ以外の領域もまとめてマネジメントできるポジション
ちなみにサプライチェーン全体のダイレクターレベルになると、年収1000万円以上は余裕、超大手企業、製薬・外資などであれば1500万円以上も狙うことができますし、工場長系のキャリアも目指せます。
ただし勤務地は往々にして工場のある郊外になるのでその点は好みが分かれるかもしれません。
転職戦略とおすすめ転職エージェントについて
仕事の性質上、勤務地を全国に広げると可能性が広がりやすいですね。この場合大手の全国をカバーしているエージェントに登録すると良いです。
毎度紹介していますがリクルート、高額年収帯であればJACといったところです。
外資狙いに強いエージェントに関しては下記にまとめています。
※もう1社外資系の比較的小規模なエージェントでロジに強いところがあったのですが、ちょっと失念してしまいました・・・思い出したら追記します。
→(2021/9/19)思い出したので追記:アイコンパートナーズでした(
)。最近ロジ案件をやってなくて忘れていました。専門家を名乗っておきながら恥ずかしい・・・ 時間ができたらそのうち解説記事をアップします。なおこちらはどうも外資ではなく外国籍の方が代表をつとめる日本の会社のようです。勘違いしてました。