7月です。そろそろ大学生の大半は就職活動を終えている頃かと思います。
まだの人も大丈夫です。今は多くの企業がコロナの影響でスケジュールを狂わせてしまったので、丹念に探していけばきっと良い会社があります。
さて企業からの内定を受けたあと多くの学生が不安を感じます。この会社で決めてしまって本当に良かったのか。
今日はそんな人に向けて、
就職の成否をコントロールし切るのは難しい
ということ、そして
その状況で納得度の高いキャリア形成をするためにどうすれば良いか
のヒントをおつたえしたいと思います。
ミスマッチを「完璧に」防ぐのは難しい・・・
「たくさん情報収集して、たくさんエントリーして、バッチリ面接対策をして人気企業に就職すればその後もうまくいくはず」
という風に考える就活生はとても多くてその気持ちもわかるのですが、現実には最初の就職の成否はかなり運に左右されます。
詳細な配属先、配属先の人間関係、最初の上司、自分の指導係などなど、現実にはコントロールの難しい要素がたくさんあります。
また仕事が自分に向いているかを事前に知ることも簡単ではありません。
インターンシップの広まりにより以前よりは仕事内容をイメージしやすくなっていますが、残念ながら現在主流の1Dayとか1週間以下の短期インターンシップでは本当の適正を知るのは難しいですね。
本来であれば最低1ヶ月程度のジョブサンプルになるようなインターンシップでないとミスマッチは起きうるように思います。
そうするとどうしてもミスマッチの可能性というのは出てくる。
計画的なキャリア設計の難しさ
「大手出版社に入社して子供向け部門で実績をつみ、ゆくゆくは子供の理系教育に役立つような書籍を手掛けたい」
みたいな極めて具体的な夢がある場合、たしかに最初から出版社に入った方が良さそうです。
ところがこういう計画的なキャリア形成は、現代のような変化の大きい時代では難しくなってきています。たとえば希望通り出版社の子供向け部門に配属されたんだけど、少子化で採算があわず撤退して全然関係ない部署に異動になったしまった、みたいなことが起きるわけです。
そこで大事になってくるのが、スタンフォード大学のクランボルツ教授らが提唱した計画的偶発性理論(プランドハップンスタンスセオリー)という考え方です。
計画的に良い偶然を起こす
計画的偶発性理論では、キャリアはコントロールしきれないものだという前提に立ちます。そして、予期せぬさまざまなイベント(転勤、予期せぬ人事移動など)が起きたときは、目の前の仕事にちゃんと全力を尽くす。
そして当初の計画に固執しすぎない柔軟性をもちつつ、その一方で自分が長期的に追いかけたいテーマは常にアンテナを貼っておくのです。
この場合、「子供の理系教育」というテーマがあるなら、もし出版社に入れず無関係なIT企業に入ってしまったとしてもそこが出発点になります。
そして目の前の仕事に集中しつつ、テーマに関連したニュースには必ず目を通す。関連するセミナーがあれば積極的に参加する。自分がそういうテーマに関心あることを普段からSNSなんかで発信する。そういった布石になるような行動をとっていきます。
するとある時、そのIT企業でEDTEC(教育テック)関係の出資先に出向するチャンスがやってきて、ITを通じて自分のテーマと関わる機会が出てきたりします。こういう風にある意味「計画的に」偶然のチャンスを引き寄せることができる(あるいはその可能性が高まる)わけです。
あるいは目の前の仕事に集中している中で、自分が追いかけたいテーマが変化していくこともあります。そうしたら新しいテーマのもとで布石行動をとっていく。
この計画的偶発性理論に沿った動き方をしてきた人は、キャリアの満足度が高いことが知られています。
00年代に流行したセオリーかなと思いますが、むしろ現在の変化の大きな時代ではますます重要性高まっている理論です。
就職は予測不可能な因子が多い
結局、就職が決まった時点ではその先、入社後まで見通すことはできません。だからミスマッチも起きうるし、自分の思い描いた通りのキャリアにならないこともあります。
特に日本は総合職採用が多いですから、配属権を会社が握っていることが多い。結果、事務系の仕事をしたかったのに営業に配属された、みたいなことが頻繁に起きます。
私の会社で事務職の募集を行うと、こういう理由で応募してこられる方が本当に多いです。
したがってもう最初からコントロールし切ることはあきらめましょう。
そしてある程度納得いく程度の情報収集や努力をしたあとは、もう直感で就職してしまうことです。あるいは客観的に給料という基準で選んでしまってよいかもしれません。
そして頭の片隅にいつも自分の一番大事にしたいテーマは忘れずにキープしておく。
するとスティーブ・ジョブズが言うように"Connecting the dots"、つまり後から点と点がつながったりするものです。
関連記事です。新卒の時に完璧にフィットする会社を見つけ出すのは難しいので、20代の間に自分にあった土俵を見つけられるようにしましょう。