エージェントに登録して最初のころは、
登録するエージェント数を増やせばそれに比例して応募可能求人も増える気がするものです。
これは半分正しくて半分正しくありません。
実際のところは多くのエージェントが同じ求人を保有しています。
たとえば下図の状況を考えてみましょう。
(また殴り書きすみません)
ここでは全体で12の求人(=●)があります。
エージェントAに登録するとそのうち7件に出会えるのでカバー率が約58%です。
そこでエージェントBにも登録すると新しく2件増えてカバー率75%(17%増)、
Cにも登録しても求人は1件増えるだけでカバー率が約83%(8%増)になります。
こんなふうに、
たしかにエージェント登録数を増やすと世の中の求人のカバー率(カバレッジ)は向上するが、伸びは次第にゆるやかになっていくわけです。
転職活動のやめ時の判断
このことを事前に知っておくことがなぜ大事か。
それは転職活動のやめ時、つまり内定を得たときにその内定で決めてしまっていいかどうかの判断に影響するからです。
仮に今ちょうど内定をもらっていたとします。
この時往々にしてこう思うわけす。
「今まで結構な数の求人を紹介してもらえた。
だからここで決めてしまわず転職を続ければもっと良い条件の内定をもらえるかも?」
たしかにその可能性はあるのですが、上述したように応募可能案件数のピークは転職活動序盤にきます。
そのため内定獲得の期待値は時間とともに下がっていってしまいます。
また下記エントリーで解説したように、日本では離職期間が長引くと不利になります。したがってなるべく短期勝負で応募を受けきってしまい、得られた内定の中で最良のものでさっさと決めてしまう方が良いです。
転職活動ではすべてがすべて理想的な求人から内定を得られる可能性は高くありません。
だから「どこで落とし所とするか」というある意味では妥協の判断が必要なのです。ちなみにこういう適切な妥協の判断について研究している人たちがいて、これは「最適停止理論」と呼ばれるそうです。
この最適停止理論のおそらく一番ホットな研究対象は婚活とかパートナー探しの領域です。数学者・コメディアンのマット・パーカーによると、それはこんな感じだそうです(*1)。
①一生のあいだにデートできる人数の平方根を求める(100人デートできるなら10)
②この10人を全員断りつつ、この10人の中で一番良かった相手を意識に留める
③それから婚活を継続して、先ほど意識に留めた「10人中のベスト」よりいいと思える人がいれば、その人が最適な結婚相手である
残念ながら転職活動における最適停止理論についての文献はちょっと探したところ見当たらなかったのですが、私のエージェント時代の感覚的には
・最低10社以上応募する
・最低2社以上内定を得る
という2点を満たした上での意思決定であれば少なくともご本人の納得度はそれなりに高い印象があります。
納得度が高い、というは言い換えればその転職が失敗となってしまったとき、後から振り返って「あの時早まった」「もっといろんな求人を見ておけばよかった」というふうには感じづらいということです。
ちょっと話がそれてしまいましたがご参考までに。
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注釈
*1:エリック・バーカー著、竹中てる実約「残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する」(飛鳥新社)より