さて久しぶりに現在の転職マーケットの状況を見てみましょう。
企業のサイズ感や、たとえば同じ製造業の中でもさらに細かくわけた業種ごとの明暗が分かれている状況です。
そのためざっくりした業界ごとの求人倍率とかを見ていてもわからない面がありますね。ではどんな会社が採用しているのでしょうか?
現在どういうところが積極採用をしているか?
この疑問に対する回答をダイヤモンド・オンラインの記事がうまくまとめています。これによると現在の採用動向は4つに分かれます。
①コロナ直撃により採用どころではない会社
②今後のビジネスへの悪影響を予想して様子見の会社
③悪影響は予想しているが、チャンスと見てあえて採用している会社
④むしろコロナが追い風になっている会社(医療系・ネット通販など)
その上で、
"そうなると現実的な転職先候補となるのは、第3分類と第4分類の会社となります。その中でもしっかり利益を積み上げて内部留保の厚い会社は、足元で悪影響は受けていても、採用する余力はあります。
「むしろこういう時期だからこそ、同業他社から優秀な人材を採用できる」
そうもくろんで採用のアクセルを踏み込んでいる第3分類の会社と、ビジネスに追い風が吹いている第4分類の会社が狙い目というわけです。"
コロナ時代の企業の採用方針4タイプ、「狙い目企業」の特徴とは | 転職で幸せになる人、不幸になる人 丸山貴宏 | ダイヤモンド・オンライン
としています。
ではこの第3分類・第4分類にどういう会社が含まれるのか。他にもいくつか情報を見てみましょう。
下記は元リクルートの著名コンサルタント、高城さんの記事です。
"こうした転職市場での変化が起きる中、いくつかの業種・業界で応募が急増しているとのこと。その1つが、運送業です。
コロナ禍の自粛生活で、運送業の重要性が再認識されましたが、人材ニーズは今後さらに高まると予想され、実際にすでに求職者の応募も増えているようです。"
"あるいは地方の中小企業において、首都圏など都市部から転職を希望する人の応募も増加傾向のようです。"
コロナを経て急浮上した「2つの転職トレンド」 | 高城幸司の会社の歩き方 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
運送をはじめとした巣籠り消費系の会社は業績を伸ばす好機ということで第4分類に、
地方の中小企業は「今まで採用に苦労していた」ということで第3分類に該当し、採用継続しています。
他にも私の個人的なネットワークから聞いたところでは比較的景気後退にディフェンシブな会社、たとえば保険営業とか製薬・医療機器・治験といったヘルスケア系もぼちぼち採用しているようです。
これはリーマンのときと同じですね。ただしヘルスケア系は対面営業がしづらいため一時的に業績を下げている会社もあるようで、リーマンの時にくらべてやや採用意欲が薄い印象があります。
また理系職種を見てみましょう。
テック系の中小・スタートアップはもともとリモートワーク対応していた会社もあり、過去数年採用に苦労していたために一部企業はここが勝負と積極採用をかけているようです。
またメーカーでいうと5Gに関連した半導体関係が結構採用していますし、あとは意外とフラットパネルディスプレイに関連した開発職なんかも採用していています。ここは第3分類で、コロナの影響はあるにせよもともとの人不足が強すぎだった業界ですね。
特に若い人なんかはそうだと思います。
向こう半年ほどの動向を読み解く
もう少し長期的な展望はどうでしょうか。
これはもうコロナ次第・景気次第なのでどうにも予測が難しくなっています。JACリクルートメントは中期経営計画を取り下げてしまいました(リンク)。
ただ現状のマーケットがリーマン級に悪いかといえばそういうわけでもありません。これは各種データからも明らかです。その一つの理由はこの数年で人手不足が進行しすぎてしまったことです。これは以前も指摘しました。
そして今コロナは小康状態を終えて第2波に向かうかどうか、という微妙な状況にあります。今後仮に冬まで緩い波と一時的な警戒強化が断続的に続くとした場合、今くらいの「求人はあるけどそこまで売り手市場ではない」というマーケット状態がだらだらと続くのではないでしょうか。
そして冬頃にはワクチン実用化の時期の目処が見えてくるでしょうから、その時期の早い・遅い、そしてコロナの大きな波が来るかどうかによって上振れも下振れもありそうです。
私がもし今転職したいと考えている状況なら、職種にもよりますが不確かな冬以降の状態に賭けずに夏〜秋あたりまでにケリをつけにいくと思います。ご参考までに。