先日20代の知人からこんな相談を受けました。
「会社の偉い人に『結局ビジネスで成果を出していこうと思ったら、最後にモノを言うのは人脈。絶対今から人脈作りをしておくべき』というアドバイスをうけて、いま色々な異業種交流会に顔を出して名刺交換しています。
でもこれが将来どう役にたつのかいまいちピンときません。人脈づくりって実際重要なんですか?」
人脈づくりの重要性は色々なところで語られていますが、実際どの程度重要なのでしょうか?
この点は意識しておくと自分のマーケットバリューに結構効いてきます。
重要な職種とそうでもない職種がある
元エージェント・現採用マネージャーとしての経験に基づいて先に答えを書いてしまうと、人脈がいるかいらないかは職種によります。
特に人脈が重要なのは、
- 営業・接客・コンサルタント等の直接顧客と接する職種
- プログラマーや研究者、デザイナーなどイノベーションや発明に関する職種
の2つです。それ以外はさほど重要ではありません。
この人脈が重要な2つの職種カテゴリーについては以下で詳しく説明しています。
あとの職種は人脈はそんなにいらないです。ほとんどなくても十分食べていけますし、異業種交流会に出る必要もないです。
まずフロントオフィス職種(営業等)の場合、単純に人脈が顧客を連れてきてくれますので重要です。
たとえば私は以前していた人材紹介の仕事では、一度転職サポートをした求職者が友人知人を紹介してくれたりします。
なのでお客様を一度きりのお客様にせず定期的にコンタクトをとったりランチをしたりするような文字通りの人脈化することが有効です。
イノベーション職種(プログラマー等)の場合、同業で活躍する友人知人からの刺激を受け続けること自体が本人のスキルアップ、さらには収入面にもプラスの影響をもたらすことが知られています。
これはレベルの高い人に囲まれていることで生産性・創造性が高まるからです(これを人的資本の外部性といいます)。この知的刺激の有無はITエンジニアのような職種には特に重要です。
したがってイノベーション職種で仕事をするなら、勉強会の類に誘いがかかったり技術的なニュースをシェアしあえるような、いわば「フォーマルとカジュアルの中間」くらいの人脈を広く形成しておくことをおすすめします。
Gerd AltmannによるPixabayからの画像
人脈がなくても問題ない職種
逆に言えばその他のバックオフィス職種(経理・人事・総務など)やミドル職種(マーケティング・購買・生産管理など)では人脈はなくてもどうにでもなります。
以前私の会社にいたファイナンスディレクター(財務部長)は年収1000万円代後半でしたが、社交性が全然ない人で、人脈もほぼゼロでした。笑
にも関わらず外資企業のディレクターポジションにまで登りつめられたのは、単にバックオフィスでの出世を左右するのは人脈ではないからです。
以前にも書いたように、バックオフィス職種での評価を決定づけるのは「わかりやすいスキル・能力」や上司へのアピール、そして運です。
人脈が役立つ場面もあるでしょうが、それよりは上司の酒の相手をしながら愚痴を聞いてあげる方がよっぽど出世に効きます。なぜならバックオフィスの仕事というのは明確な数字で評価しづらいからです。
大事なのは社内人脈?
むしろ大事なのは社内人脈をつくっておいて、社内異動のための布石にすることです。
以前書いたように通常は28歳をこえると未経験転職は難しくなります。ただし例外があって、それが社内異動によるキャリアチェンジです。これは以前のエントリーで詳しくとりあげました。
社内異動の場合、時々びっくりするようなキャリアチェンジが実現するのですが多くの場合その場合受け入れ先の責任者と異動者本人の間に個人的なつながりがあるんですね。
またキャリアが行き詰まった時に、しばしば少し異なる方向性に「キャリアを振る」ことで打開できることがあります。これは特にバックオフィス系の職種で有効です。なぜなら上の方で引用した記事で書いたように、成果を定量評価しづらいため、出世・昇進・年収アップに運と上司からの評価が必須だからです。
たとえば人事の研修担当をしていてなかなか評価がついて来ない時に、人事制度のチームのマネージャーに引き抜いてもらう、なんてことができます。
普段から社内で幅広く人脈形成しておくと、こういった「キャリアを振る」チャンスを得られやすくなるで結構役立ちます。
ということでまとめると、フロント職種やイノベーション職種なら積極的に人脈を作りましょう。
バックオフィス、ミドル職種ならなくても問題ないですがあるとマーケットバリュー(人材市場価値)を高めたりキャリアの展望を開く上で役に立つことがあります。
関連記事です。マーケットバリューを高めるための戦略について。