キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 毎週木曜を含む週1〜2回更新

今JAL・ANAに就職するのはどうなのか

ANAが新卒採用の一時中断を発表しました。

ANAホールディングス(HD)は8日、グループの2021年度入社向けの採用活動を一時中断すると発表した。6月以降の面接などをいったん延期する。21年度は3200人程度を募集していた。航空需要は新型コロナウイルスの感染拡大で急減している。流行の収束時期が見通しにくく、新卒採用を含めた事業計画が策定できなくなっていた。

既に書類選考などを始めており、応募者には活動中断の連絡を行っている。活動の再開時期は未定とするものの、採用の凍結や内定の取り消しはしない方針だ。
新型コロナ:ANAグループ、21年度入社の採用活動を一時中断 (写真=共同) :日本経済新聞

先月末発表の3月末時点でのバランスシートを見ると現金が1094億くらい、昨年12月時点の1268億から170億円以上も減らしてしまいました。4〜6月期は数百億の赤字が出るでしょうしこれはかなり苦しいのではないでしょうか。JALはいくらかマシのようですかこちらも結構厳しそうです。

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ANAが多額の資金調達を進めているということが報じられてますが、採用抑制に動くのも当然かと思いました。

はたしてこの状況下でJAL・ANAの二大キャリアに就職するのはどうなのか。
あるいはBEACHとよばれる、コロナ禍による影響が大きいとされる業種に就職することの是非を考えてみたいと思います。

BEACHとは・・・

B Booking(予約サイト)
E Entertainment(映画・テーマパーク・ライブハウスなど)
A Airline(航空)
C Casino/Cruise(カジノ/クルーズ船。日本だとパチンコも入るでしょうか)
H Hotel(ホテル)

 

3月時点ではJAL・ANAともまだ人気だったが・・

3月時点では就職人気ランキングでANAが2位・JALが10位につけているのですが、個人的にはこれは高すぎかなぁと思います。今はもう少し下がっているものと思いますが。

toyokeizai.net

 

他のBEACH企業もちょっと高いですね。JTBも11位です(去年8位)。

 

日本企業は採用活動を業績の変動に対してかなり遅行させます。つまり業績悪化してしばらくしてから採用を減らすということです。そのため業績が回復してきてもすぐに採用量を戻すことはせず、ちょっと様子をみて間違いなく大丈夫だね、となってからようやくじっくり採用量を戻していきます。

これは日本では解雇規制が強く、人材流動性が低い(=中途で採用しづらい)ことが背景にあるので、まぁ日本企業の体質といってよいと思います。採用に慎重さが求められるわけです。

 

このためおそらく一番採用ボリュームが減るのが現在進行中の21年4月入社ではなく、22年4月入社になると予想しています。もっというとコロナ禍の世界経済への影響がどれだけ長引くかによりますが、その次、23年4月入社まで抑制が及んだとしてもおかしくないですね。

 

採用抑制期に入社することのネガティブ面を見極めること

それの何が問題かといえば端的にいって成長機会が制限されてしまうことです。日本企業では新卒にテレアポ・外線電話の応対・書類コピー・その他もろもろの下働き・雑用をやらせる傾向にありますから、このステージをなるべく早く抜けて付加価値の高い仕事に移った方が良い。しかしBEACH系の業界に今就職するとこれが数年単位で続く可能性が高いように思います。その間業務時間の多くを下働きに費やすことの影響はちゃんと考えるべきです。

 

もともと航空業界・BEACH系の業界に強い意欲や思い入れがあったとかならいいです。そういう人たちは好きな業界で働けるという大きなメリットを享受できるわけで、あるいはそれが成長機会の制限というマイナス面を補うほどの価値ががあるかもしれません。このあたりは結局価値観次第です。

 

ただ3月時点のランキングを見るに、まだ「なんとなく大手だから」という理由で志望していた人たち、ランキングにおける浮動票といいますか、そういう人たちが大量に志望していたのではないかと思います。

 

たしかにJAL・ANAも大手ですし、特にこういうフラッグキャリア級の会社であればいざとなったら国が助けるでしょうから比較的安定感はあるでしょうが、それと上述した成長機会の制約は別です。

(あともう半分余談ですがこの2社については以前から統合話が出てますし、そうなったらスリム化→リストラもありえるでしょうからそもそも本当に安定企業なのかというのもあります)

 

繰り返しですが絶対航空を含むBEACH系の業界に就職するなという話ではなく、ちゃんとコロナの長期的なネガティブ面を考慮した就職意思決定をしましょう、ということです。

 

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