キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 現在は不定期更新

欧州MBAのメリット・デメリット(経験者が語る)

※本記事は2020年に書いたもので近くアップデートしたいと思いますが、概ね外貨建ての費用は変わらないケースが多いようです。ただし昨今為替が大幅に円安になっていますのでご注意ください。

 

私はキャリア形成のある種の「飛び道具」として以前からMBA取得について紹介しています。

私費で海外MBA留学を志す人に人気なのが欧州MBAです。欧州MBAにはさまざまなメリットがあります。私も欧州MBAの経験者ですが、今日はそのメリット・デメリットをそれぞれ解説したいと思います。

先にまとめておくと下記が私の感じたメリット・デメリットです。

【メリット】
期間・費用を抑えられる
多様な学生と出会える
観光が楽しい
大人が多い

【デメリット】
物価が高い
忙しい・詰め込みプログラム
インターンシップ等をしづらい

以下もう少し具体的に解説していきたいと思います。

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欧州MBAのメリット

まずはメリットから紹介しましょう。

期間・費用を抑えられる

アメリカで主流の2年制プログラムと比較すると、ヨーロッパは1年〜1年半程度のプログラムが多くなっています。そのためキャリアの中断期間を短くできますし、費用も抑えることができます。

MBAによるキャリアの中断は特に転職で不利になるわけではないですが、さまざまな理由であまりブランクをあけたくないケースもあるでしょう。そういった方々には欧州の1年プログラムはおすすめです。

多様な学生と出会える

大学にもよりますが、一般的にヨーロッパのスクールの方が外国人比率が多い傾向にあります(このあたりの実情は大学ごとに数字を公表していることが多いです)。多くのコースでは欧州各国はもちろん、アジアやアフリカからの学生を多数受け入れています。

このことの何が良いかというと、まず「国籍マジョリティの集団」が生まれづらく、たとえば日本人がコースに一人でも浮かないですみます。また様々な文化的バックグラウンドを持つ人と交流することで、ダイバーシティへの理解がすすみリーダーシップの引き出しが増えます。

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私が人事として面接していても感じますが、たとえば日系企業から海外の工場立ち上げに管理職として派遣されたとき、ローカルのメンバーを上手にリードしながら成果を出せるのはこういう引き出しがたくさんあるタイプの人が多いです。

また単純に様々な国籍の人間が集まると楽しいです。学校によっては各国の料理を振る舞うイベントが開かれたりします。

観光が楽しい

ヨーロッパですと域内に魅力的な観光地が目白押しなので、学期間の短い休暇を活用しての旅行が捗ります。また余裕があれば卒業後に卒業旅行をしても楽しいです。

大人が多い

一般に欧州のプログラムはしっかりした職務経験をもった30歳前後の学生が多いですね。全体的に大人が多く、またプロとして一定の経験を積んだ人が多いため深いディスカッションになりやすい傾向があるように思います。

デメリット

続いてデメリットです。

物価が高い

費用を抑えられる、と書きましたがそれはあくまでUSと比較した場合です。そもそも欧州は現在の円安下ではどこで暮らしても物価が高くつきます。IMDのあるスイスなんか、私費での留学はかなり難しいのでは、と思わされるレベルです・・・。

費用については下記のエントリーも参照してください。単純にコストの観点ならアジアが良いです。

www.career-yoshinashi.com

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プログラムが忙しい、詰め込み

USで2年かけてやるプログラムを1年に圧縮するわけですから、どこも慌ただしくなる傾向にあります。私も機会があってあちこちのMBA学生と会話しましたが、皆さん授業数も多くなかなか大変そうでした。

USと比較してキャリアチェンジの突破口にはしづらい

上記とも重なりますが、プログラムの期間が短いためにインターンシップがしづらい傾向にあります。USの場合インターンシップを通じて未経験の業務にチャレンジしてキャリアチェンジ、といったケースが多々あるそうなのですが、欧州の場合学生の平均年齢が高めなこともあり、もともとの職種・業種に戻っていくケースが多いように感じます。その意味で大きな方向転換の突破口としての活用はややしづらいと思います。

 

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