今回はQ&Aです。
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29歳会社員です。専門はマーケティングであり、TOIEC800で多少の英語使用経験があります。
私は大学卒業後、大手メーカーに就職したのち30代前半までに海外でのビジネス経験をつみたいと思い、今の会社に転職しました。
今の職場は中堅電気メーカーのマーケティング部です。入社後1年半経過したのですが、コロナの影響でまだ海外赴任の機会がありません。またコロナ不況の影響をそれなりに受けてしまっており、今後赴任機会があるかも不透明です。
もともと現職は入社前からやや将来性に疑問を持っていたため、いずれは転職を考える必要があると想定していました。また正直なところややカルチャーが合わず、海外赴任も怪しくなったいまできれば早めに次を考えたいのですが、その場合短期離職になることを懸念しています。
以上を踏まえて、コロナ収束後に備えて今から準備しておきたく、以下2つの選択肢でどちらがよいかアドバイスいただけないでしょうか。
①今から準備してコロナ収束後に海外MBA留学をする
②頃合いを見計らって海外勤務の可能性のある他社に転職
①についてはもともと視野に入っていませんでしたが、こちらのサイトを含めていろいろ情報収集しているうちに少しずつ関心が出てきました。ただそれぞれにどのようなメリットデメリットがあるか分からないため、ご意見いただければと思います。
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ご相談ありがとうございます。
さて海外留学と海外赴任の可能性ある企業への転職、この二つの選択肢のどちらが良いかということですが、これは将来的にどういう方向性を狙うかによるかと思います。
メーカー2社でマーケティング経験があり、英語力も高めだと思いますから、安定を重視するならわざわざMBAなどを考える必要はなく転職でOKです。マーケティングはミドルオフィスなので基本的に業界を問わずに転職できますし、高年収を狙いやすい職種のひとつです。
この点は詳しくは下記の記事を参照ください。
一方MBA留学ですが、こっちは結構判断難しいです。私が言うのもなんですが、MBAは必ずも企業から高く評価されるとは限りません。
これは私がいつも言っていることなのですが、MBAはどちらかと言うとキャリアにおける飛び道具的なものです。
どちらかというと海外留学というは今のキャリアの延長ではなくて、キャリアに大きな変化をもたらしたいときに有効です。慶大教授の高橋俊介さんは「キャリアショック」という本の中で(これおすすめです)「キャリアを振る」ための海外留学というのを提唱しています。ちょっと長いですが引用します。
"これに対し、海外留学やMBA取得は、新しいキャリアにつながるかどうかはわからないが、それでも、リスクを取って行ってこそ意味がある。逆にいえば、キャリアを大きく振るためのジャンプであるから、帰国後にどの講座がどのような仕事で役立つかといった現実的な判断は無用といってもいい"
"むしろ、海外留学のプロセスの中で、さまざまな刺激を受け合い、新しい人脈の世界をつくり、以前とは違う自分になって帰ってくれば、それが大きな成果となる。新しい自分には新しいキャリアの選択肢が見えてくるはずで、そこで一気にキャリアを振る。"
(いずれも高橋俊介著「キャリアショック」から引用)
このように自分でも思っても見なかった面白いキャリアを描けるかもしれない(描けないかもしれない)のが留学です。留学というのはもうそういうものですので、腹を決める必要があります。
ですから自分が30代のあいだにどれだけの変化・振り幅を起こしたいのか。それによってこの2つの選択肢を比較するのが良いのではないでしょうか。
なお②(海外赴任の可能性のありそうな会社への転職)ですが、正直コロナ後の世界がどうなるのかを正確に予測するのは難しいと思います。ポストコロナの世界では海外赴任自体が激減するトレンドになるかもしれません。
そこでご自身がそもそも海外赴任で何を得たいのかを明確化しておくと良いと思います。
単に海外に住む経験をされたいということなら留学は良い代替案になります。またそうではなくてグローバルな環境で通用するようなスキル・経験を積みたいということであれば、必ずしも赴任せずとも出張や海外との電話会議でも代替できるかもしれません。
これからしばらく変化が大きい時代が続きそうですので、それに対応できるようなフレキシブルさは常にもっておきたいですね。
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