最近こういう相談を受けたのでご紹介します。
「かねてより金融業界に興味があり、晴れてメガバンクの一角での内定を得ました。しかし商業銀行の先行きについてはネガティブな観測が目につきます。銀行への就職についてどう思いますか」
3メガや大手地銀であれば、最初の選択肢としてはわるくない
最近も某大手地銀で行員の流出が続いている、とする記事がありました(真偽のほどはわかりませんが)
ですが最初に結論を書いておくと、現時点では私は(ある程度転職前提になりますが)最初の就職先として大手銀行を選ぶのは悪くないと思います。
なぜかというと、一度メガバンクに入ってしまえば、今も転職市場で強いブランド力を発揮できるからです。
なので仮に商業銀行がダメになって生きていける可能性は高いです。
スタートアップ・ベンチャーなんかを除けば、企業の新卒採用を担当する部門責任者や人事担当はだいたい30代後半〜50代です。
そして彼らは自分自身の就活時に強かった企業ブランドに結構影響されます。逆に言うと、今時のIT・Web・ソフトウェア系で勢いのある会社の出身者は、彼らから思ったより評価されないことがあります。
彼らは自分たちの理解できる会社が好きなのです。
その点メガバンクは何十年と文系就職ヒエラルキーの最上位に君臨しているので、老舗企業・手堅い大手企業の人事担当からは非常に評価されます。
こんな具合に、転職市場における企業ブランド力はちょっと遅れて発揮されるというのは知っておくと良いでしょう。
総合職の場合
とは言え、商業銀行のビジネスモデルに暗めの観測が出ているのも確かです。それなりに戦略的に動くことは必要かもしれません。
総合職として入社した場合、多いのは地方支店に配属されて融資営業を担当するケースです。
ここで営業力、財務知識と銀行ならではの「きちんとしてる感」を身につければ転職先は結構見つけやすいと思います。きちんとしてる感というは採用する側にとって教育コストがかからないことを意味します。
そんなわけで例えば、
- 高価格帯の製品のメーカー(買うこと自体に投資的な性質が強いモノ)
- 商社
- ゼネコン
などの第二新卒的な枠で需要があります。
大事なのはスキルを身につけつつ自分が金融業界で食っていくかどうかを吟味することです。28歳くらいまでに方向性を見定めて、金融でいきていくか転職するかを決断しましょう。
一般職の場合
今の銀行の一般職は銀行のコミュニケーションインフラっぽいところを担うことが多いです。
こういうインフラっぽいところは意外と簡単に切れない難しさがあります。特にローカウンターについては高齢化もあってニーズがゆっくりしか減らないと見ています。
今後特に待遇がよくなることはなくても、スキルのあるローカウンター人材であれば食べていけると思います。転職先もそれなりにあります。たとえば医療系なんかのミスの許されない営業事務ポジションは銀行員の几帳面さを好んだりします。
ただの事務職化してしまうとAIで代替されてしまいますが、社内外での調整力+コミュニケーション力の組み合わせを活かして活躍できる仕事は多いです。
たとえばメーカーでのカスタマーサービスは事務的な正確性だけでなく、納期調整やクレーム対応など、コミュニケーション能力を必要とされる場面が増えています。
こちらのパターンでもやはり30歳前後までには金融業界で生きていくかどうかは固めておいた方が良いです。
銀行・金融業界で生きていく場合のキャリア形成
アマゾンなどネット系企業が金融分野に参入する事例が増えているので、私だったら将来的にそういった方向性にシフトできるようなスキルを身につけると思います。
なので可能なら、
・Web
・統計学
・機械学習
などのスキルをつけておくと市場価値はかなりつけられるのではないかと思います。IT系金融企業は金融の専門知識については弱めなので、そこを補うための求人が出ます。
たとえば私が以前人材会社にいたとき、イオンやセブンなどの流通系企業が銀行業界に参入してきたことがありました。私はその一社を担当していたのですが彼らはいわゆるわかりやすい大手銀行の出身者を取りたがっていました。
それと同じことが、より大きな範囲で起きる可能性があるので、その波に上手く乗れると面白いキャリアが築けると思います。
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