キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 現在は不定期更新

(Q&A)希望者業界がはっきりしている、ベンチャー・中小企業メインの広報キャリア

今回は個人的なツテで頂いたご相談にお答えしたいと思います。

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Q

35歳女性です。

私は大学の国際関係の学部を卒業後、あるメーカーの販売企画や法人営業職についておりました。
4年勤務ののち、夫の転勤と私の病気が重なったため退職し、2年ほど地方で療養をしていました。

 

その後体調が戻ってきたこともあり、夫の転職による帰京のタイミングで、かねてから興味のあった国際協力分野のNGOに再就職、主に資金調達を目的とした広報業務に従事しました。

 

そこはとても小規模な組織で、いまの仕事は支援者向けのウェブメディアの立ち上げと運用、コンテンツ企画、後方マーケ、寄付をしてくださる企業との関係構築・維持が主です。ただしそのNGOに広報の専門家がいたわけではなく、事務長と手探りでいたためスキル面ではあまり自身がありません。

 

そちらに5年程お世話になったあと、大学時代の友人のツテでフェアトレード製品を扱うスタートアップに転職したのですが、今の会社はどうしても経営者の考え方についていけません。またやはりベンチャーだからか、雑多に色々な職務を任されるのですがあまり専門スキルがついていないような感じがあります。

 

一報で国際協力やフェアトレードといった分野には強い関心があるのと、広報の仕事も楽しいので続けたい気持ちがあります。

 

上記踏まえて2点ご質問です。

①今すぐの転職は考えていないのですが、正直毎日ストレスが大きいです。直近の会社はまだ4カ月しか勤務していないのですが、退職することのリスクはどの程度ありますでしょうか。
②今後のキャリア形成全般にアドバイスをください。

 

***

 

A

広報のようなミドルオフィス職種ですと、割と業界を選ばずに転職できます。もちろん業界経験はあればあったでプラスです。

こういうミドルオフィスの特性を考えつつキャリアを作っていきたいですね。

 

さてまず①ですが、まぁ今辞めてしまってもぼちぼちなんとかなるのではと思います。

4カ月での退職となるとたしかに嫌がる会社も多少でてくるかもしれませんが、その前の2社がいずれも長続きしているのでそこまでネガティブにはならいと思います。

 

ご相談者様は配偶者もいらっしゃるということですし、変にストレスをため込んでしまって体調崩したりするくらいならスパッと辞めてしまうのもありだと思いますよ。この辺りは結婚という制度のひとつのアドバンテージですね。

 

さてそれを踏まえて②ですが、お話しを伺うに長期的なキャリア形成をしていくにあたってはやはりしっかりした専門スキルをつけられていない点がネックかもしれません。

 

今の感じだとベンチャー・小規模組織の何でも屋さんとしては一定の需要が見込まれますが、広報の専門家としてはちょっと物足りない感じがしますね。

 

やはり専門スキルをつけるという意味ではしっかりしたスキルを持った専門家に囲まれて仕事をするのが一番よくて、その点は大企業にアドバンテージがあります。

NGOとかの広報・資金調達部門も結構大企業とか外資系出身者を採用してたりします。

 

ただし国際協力系は業界全体が大きくないですし、個別のプレイヤーを見ても中小事業者が多いですから、最初からこの界隈の大手に入るのは少々難しいと思います。

 

そこで私ならまずいったん別の業界でもいいから、数年しっかりした広報経験を積んで40代以降にこの業界に戻ってくるのを狙うと思います。

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なるべく大手がいいでしょう。またご相談者様は女性ということですが、もし転職に苦労するようなら派遣や契約社員でスタートするのもありだと思います。派遣といっても任される仕事の裁量はまちまちですから、なるべく裁量が大きく、スキルのつきそうな会社を狙うのが良いと思います。

 

そして前回ご紹介した計画的偶発性理論(プランド・ハップンスタンス・セオリー)のように常に「その次」に向けてアンテナを張っておきます。

 

まだ35歳ということですし、30代後半でしっかりした経験を積んでおけば40代以降で大きく飛躍できるのではないでしょうか。

 

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