キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 現在は不定期更新

リファレンスチェックとバックグランドチェックの違いについて

選考プロセスの方で登場するバックグランドチェックとリファレンスチェック、この違いがよくわからないという声をたまに聞くので説明したいと思います。

バックグラウンドチェック

まずバックグランドチェックですが、これはちょっとした信用調査のようなもので、主にちょっと経歴に問題のある応募者をスクリーニングするために行われます。実施方法には2パターンありまして、ひとつは応募者に了承を取った上で過去の企業に在籍確認を行っていくパターンです。これにより履歴書上の在籍期間などの情報が正しいか確認します。有名どころではイーストアンドウェスト社なんかがこういうサービスをやっています。

 

もうひとつは応募者の了承を取らないパターンで、こちらは依頼者(採用する企業)の名前を明かさずに、とにかく様々な情報を取りに行きます。具体的には各社での評判やパフォーマンス、労働組合への参加歴、さらには借金の有無や宗教、近所の評判などに及びます。

こちらは主に興信所とか探偵事務所のようなところが主に請け負っていました。

しかし昨今の個人情報保護強化の流れや法律改正などもあり、あまり情報を得られなくなってきているようです。法的にもちょっとグレーな感じがするので、データで確認したことはないですが恐らく大企業の多くは後者のタイプをやらなくなってきていると思います。

これはまあ昔の話ですが、凄く良さそうな候補者にこの手のバックグラウンドチェックをしたところ謎の高額負債の情報が出てきてギョッとしたりとか、そういう人間の奥深さを感じさせてくれる面があってなかなか良かったのですけどね。笑

 

さてこのように同じバックグラウンドチェックと呼ばれるものでも二種類あってプロセスも会社が得る情報も結構違うわけですが、前者、つまり了承をとっての実施の場合、そうは言っても応募者が了承しないわけにもいきません(経歴に何かやましいことがあるのではないかと思われてしまいます)。なのでやはり経歴詐称はここで引っかかるわけですね。

ということで経歴詐称はやめた方がいいです。このことは以前にも書きました。

リファレンスチェック

さてリファレンスチェックの方ですが、これは応募者に過去の上司や同僚2~3名を推薦者として指定してもらい、その方々から応募者の過去のパフォーマンスについて聞くというものです。質問としては、たとえば

・応募者とまた一緒に働く機会があるとすれば働きたいですか

・応募者の強み・弱みは

・応募者は過去~~のような状況でどのようにふるまいましたか

といったものがあります。形式は電話インタビューだったりテンプレ(リファレンスレター)を埋めてもらう形式です。応募者が自分で指名できるので、普通は自分を良く言ってくれそうな上司などが選ばれます。

 

ではなぜこれを実施するかというと、まずそもそも推薦者を規定人数集められない場合があります。特に30代以上で推薦者を集められないと、そこそこ職歴があるのに推薦者を十分に集められないのはその人の上司・同僚との関係構築に問題があるのでは、という見方がされます。

 

それで即NGになるとは限らないのですが、多くの場合イエローカードというイメージです。また、意外と自分で指定した推薦者であっても結構ネガティブ情報が出てきます。私が以前ある業者さんから聞いたところ、10%程度の確率でネガティブな情報が上がってくるということでした。これもまた一つのイエローカードになります。

 

またリファレンスチェックは会社側からすると採用後のオンボーディング(入社後の定着と活躍に向けた支援)にも役立ちます。上記のような質問に元上司などに答えてもらうことで、採用したあとにどのあたりでつまづきそうか、どういうメンターをつけると相性が良さそうか、といったことのヒントを得ることができるわけです。

 

さて、ごくまれになぜか毎回ケンカ別れのような形で転職を重ねるタイプの人がいます。辞める、と決めると感情の抑えが効かなくなるタイプなのかもしれません。そういうタイプの人はこういうバックグランドチェックやリファレンスチェックの時に苦労します。

 

世の中色々な会社がありブラック企業もありますから毎回円満退職とはいかないかもしれませんが、やはり立つ鳥跡を濁さずというのは転職にも当てはまると言えそうです。

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