私が転職エージェント業界に入った2000年代の半ばあたりまでは35歳限界説というのが良く言われていました。
それを超えて転職できるのは転職がもともと一般的な医療系職種やITの技術者、外資系の人たちエグゼクティブ系というのがわりと定説でした。しかしこれも過去のことになりつつえるようです。
35歳あたりまでしか中途採用しないという傾向は特に日系大手企業に顕著で、これは新卒総合職で大量採用し、その人たちを年次と段階的絞り込んで昇進・昇格させる仕組みになじめるのが35歳以下だったというのが一つの理由だと思われます。
おおむね最初に肩書がつきはじめるのが35歳なので、それ以上で採用すると「中途なのになぜ肩書がついてるんだ」という具合に軋轢を生みやすかったようですね。私が当時お付き合いしていたクライアントからも、外様に肩書きを与えるくらいなら自分達によこせ、という声があるので、35歳以上で中途採用はしづらいんだと言われたことがあります。
ちなみに採用力に劣る中小企業の場合、昔からミドル〜シニアレベルの中途採用も行われていました。個人的な例ですが私の父も90年代に齢40で転職しています。
35歳限界説の消滅と40代転職市場の確立
それがいまでは、30代後半~40代はむしろ即戦力として活用できる層としてかなり需要があります。私の会社でも40代は活発に採用しています。
今は40代転職フィールドが完全に確立されているので、35歳限界説は消滅したと思っていいでしょう。
日系大手でも最初から肩書付きで中途採用されるケースが少しづつ増えているという話も聞きます。
そんな状況なのでJACのような高年収帯を狙うエージェントや業界特価のブティック型エージェントあたりはむしろ30代後半~40代あたりが収益の柱になっているようです。
50歳を超えたあたりから急激に難易度が上がってくる
実際に転職活動していて狭き門を実感し始めるのは50代に乗ってからでしょう。ただし50代でもしっかりしたマーケットバリューがあれば転職可能です。近年の定年延長の流れがこれを大きく後押ししています。特に都市部でこれは顕著です。人によって信じづらいかもしれませんが、50代転職マーケットは確かに存在しているのです。
ちなみにDODA(パーソル)で「50代」というワード込みで検索すると2022年5月現在9000件近い求人が出てきます(このすべてが50代応募可とは限らないですが)。
かつての60歳定年であれば55歳を採用するとなるとあと5年で定年を迎えるわけで、そうなると余程のバリバリ即戦力でないと難しいのが実情でした。
ところが65才まで働いてもらえる場合最長10年は雇えますから、こうなると企業側もぐっとハードルが下がります。人材採用はやはり投資の一種ですので、それがペイできるかががシビアに問われるわけです。逆にいえばバリバリの歩合制営業の場合、早々にペイできるケースも多いのでこうなると60才であろうと転職できます。
私の会社ではまだ60代の採用はないですが50代も毎年多少の採用があります。私自身採用担当ですが、50代だからと理由でNGにすることはないですね。
今の転職限界年齢は55歳
強いて言えば、というところですがエージェント各社に聞くとやはり55歳を超えると成約数が激減するので、55が現在の限界年齢に近い感じかなと思います。
20年で20才分の上限が広がったわけで、これはやはり大きな社会変化といって良いでしょう。今50代で転職を迷われている方がいれば、ためしにエージェントやビズリーチに登録してみるのもよいのではないかと思います。