キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 毎週木曜を含む週1〜2回更新

在宅勤務は日本にジョブ型雇用を広げるか?

在宅勤務を定着させるために、成果主義的な評価とジョブ型雇用の導入が広まってきているというニュースがありました。

新型コロナウイルス感染拡大を機に普及した在宅勤務の定着に向けて、企業が制度の見直しに動き始めた。資生堂や富士通が業務の成果で評価する人事制度に本格的に移行する。在宅勤務に限定した社員の採用を始める企業も出てきた。在宅勤務の広がりで、出社して働いた時間を前提とする日本型の雇用制度が変わり始めた。
出典:新型コロナ:雇用制度、在宅前提に 「ジョブ型」や在宅専門の採用 :日本経済新聞

 

時間ベースでの評価では在宅勤務者を正しく評価できないということですね。

そもそも現代のホワイトカラーに労働時間での評価がなじまないのはもとより自明のことですし、今更といえば今更です。

 

しかしこのような仕事の性質と評価方法の乖離が在宅勤務の広がりとともにいよいよ無視できなくなってきているということかもしれません。

 

ちなみにこの日経の記事はジョブ型について「ポストに必要な能力を記載した職務定義書(ジョブディスクリプション)」を示し、労働時間ではなく成果で評価する」というふうに定義してしますが、これは正しくないと思います。

アメリカにおけるジョブ型雇用でも、たとえば工場の作業員は時間ベースだったりします。

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要するにいまのように在宅勤務の拡大下で求められている成果主義はジョブ型雇用の必要条件ですが、ジョブ型雇用にとっては成果主義は充分条件でしかないということです。

 

これ成果主義を推していきたい日経の意図的な混同なんじゃないでしょうか。
日経って昔からそういうことをやる印象があります。邪推ですけども・・

 

(追記:労働政策について有名な濱口さんのブログに上記の指摘内容とおんなじようなことが書いてありましたね・・

「ジョブ型」の典型は、アメリカ自動車産業のラインで働くブルーカラー労働者である

これ一つ頭に入れておくと、今朝の日経記事をはじめとするインチキ系の情報にあまり惑わされなくなります。

世界の労働者の働き方の態様は実に千差万別です。その中で、アメリカ自動車産業のラインで働くブルーカラー労働者は、そのあまりにも事細かに細分化された「ジョブ」の硬直性により有名です。

間違えないでください。「ジョブ型」とはまずなによりもその硬直性によって特徴づけられるのです。

だってそうでしょ。厳格なジョブ・ディスクリプションによってこれは俺の仕事、それはあんたの仕事と明確に線引きされることがジョブ型のジョブ型たるゆえんなんですから。

「ジョブ型」の典型は、アメリカ自動車産業のラインで働くブルーカラー労働者である: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

上記の記事では日経をけちょんけちょんにぶった切っててちょっと笑ってしまいました。日経、勉強になるし好きですけどね)


話はそれましたが私もジョブ型推しです。

 

前から書いていますが、世界ではジョブ型雇用が主流なので日本が国際的な事業展開をするあたってメンバーシップ型を維持しようとすると良い人が採れないからです。

 

他にも作家の橘玲さんはメンバーシップ型の正社員雇用と派遣とかの非正規雇用からなる日本の雇用の仕組みを全時代的な身分社会というふうにぶった切っています。

 

メンバーシップ型正社員に、社命による転勤・人事異動や奴隷的な無制限コミットとバーターに雇用保証する仕組みがある一方、派遣社員などの非正規雇用者はめちゃくちゃ搾取されているというわけです。

"給料の格差、解雇の容易さ、各種手当の有無、設備利用の可否など、あらゆる面で非正規は劣悪な労働条件に置かれており、これほど搾取されている労働者は先進国ではまず考えられません" (橘玲著「働き方2.0 vs 4.0」より引用)

 

そんなわけで私は日本もジョブ型に移行すべきだと考えていますし、今回のコロナ禍は結果的に日本的メンバーシップ型雇用終了の序曲になのではないかと思います。

 

ジョブ型制度のもとではより一層自律的なキャリア形成によって自分の専門性を確立しないとだめです。そんなわけでこのサイトではそういった専門性確立のためのヒントになるような情報をこれからも発信していきいたいですね。

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