キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 現在は不定期更新

年収ダウン転職への対応① エージェントに「今の給料は高すぎます」と言われた・・・それって本当?

今回は以前知り合いからいただいた質問に答える形で、エージェントに「今の給料は高すぎます」と言われたときにそれをどう理解したらよいかを解説したいと思います。

 

Q:
今の仕事にやりがいを感じないので転職したいのですが、転職エージェントからあなたの給料は高すぎると言われました。自分としてはとても不本意ですが、エージェントが言うことが正しいかどうか判断する物差しがありません。自分の年収が高すぎるのかどうか、どう判断したら良いのでしょうか?

 

年収が高すぎる状態になるのには大きくわけて3つのパターンがある

年収がマーケットの標準的な水準に対して高すぎる状態になるのを英語でオーバーペイドといいます。この状態になるのは大きく分けて3パターンあります。

 

ひとつは
①勤続ボーナスが付いているケース
です。

 

いわゆる年功序列型の人事制度の会社の場合、年功という字面の通り長く勤めること自体が年収アップにつながります。

この仕組みについては以前のエントリでも解説しました。

www.career-yoshinashi.com

 

この年功序列の仕組みはそこまでマーケットの水準を反映しないため、長く勤めている間に実力以上の年収になってしまうことがあります。私はこれを勤続ボーナスと呼んでいます。

 

このパターンでのオーバーペイド状態は年功序列型・総合職型の会社で多く発生しますが、実は外資系企業のような成果主義型・専門職型の会社でも時々発生します。

 

いくら成果主義といっても、年1回の査定時に(成果が出ていようがいまいが)多少でも給料が上がらないとモチベーションを維持しにくいものです。

 

会社もそのあたりわかっているので、結果、成果主義をうたっている会社でも多少の年功給のようなものが乗ってきます。これには社内人脈、暗黙知の蓄積、会社へのロイヤリティ向上等を見込んでいる側面もあります)


オーバーペイドに陥るもうひとつのパターンは、
②業界ボーナスが付いているケース
です。


これも以前解説しましたが、業界・ビジネスモデルはもろに年収を左右します。従って所属する業界によってはこれまた実力以上の年収になります。これを業界ボーナスと呼んでいます。

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最後に、③個別企業ボーナスがついているケースがあります。一言でいうと「たまたま給料の良い会社に勤めている」ケースです。

 

このパターンを見極める方法ですが、OpenWorkなどの評価サイトで自社の給与に対する満足度をチェックします。その数字が業界内の他社と比べて明らかに良いようなら該当している可能性が高いです。


なぜ私たちは「年収が高すぎる」ということを受け入れづらいのか?

私も多くの人の転職相談に乗りましたが、多くの人は自分の年収が高すぎるということを指摘されると、そのことを受け入れられなかったりショックを受けたりします。

あるいは転職活動しても自分で思った以上に低い年収提示しかないことに憤慨して、良い縁を逃してしまったりするものです。

 

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気持ちはとても分かるのです。

なぜショックを受けるかというと、年収は自分の能力や価値を反映したものという社会的な刷り込みがあるからです。

 

そういう言説ってよくみかけますよね?あるいは年収が高いからといって高圧的に振舞ったりする人もいます。

 

しかし実際のところ年収は水物です。このサイトで繰り返し述べていますが、人がどれだけの報酬を受け取るかは必ずしも能力・価値を反映した数字ではなく、土地、景気、給与制度など色々な要因で決まります。

まずはこのことを良く理解する必要があります。

 

年収ダウンの可能性にどう対処するべき?

特に年功的な要素の強い制度の会社で長く勤続した場合は生活の損益分岐点を上げすぎない、あるいは今からでも下げられることは下げておくことが大事です。

並行して格安スマホ、電力自由化など細かい節約の方法がたくさんあるので日頃から固定費を下げられそうな情報へのアンテナを立てておくことです。

 

さらに、年収ダウン転職についての準備をしておくこと。これについては次回のエントリーで書きたいと思います。

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