今日はベンチャーに向いている人・向いてない人がそれぞれどんな人かを解説します。
私の最初の会社は入社を決めた段階では百数十人の会社でなかななかのベンチャーっぷりでした。また社員2名+バイトのみのスタートアップでバイトしたことがありますし、エージェントとしてベンチャーを担当したことも多々あります。
そんな個人的な体験ともに、参考になる文献なんかも紹介しつつどんな注意点があるか見ていきましょう。
※ベンチャーとスタートアップの違いには諸説ありますが、面倒なんでいったん同じものとしてすすめます。スタートアップの方がより小規模で創業間もないフェーズを指すことが多いです。
性格的や能力的な向き不向き
ハーバード・ビジネス・レビュー、2018年6月号の記事「あなたはスタートアップで働けるのか」によれば、ベンチャー・スタートアップへの適性は3つの点で評価できるといいます。
1不確実性への対処能力
まず、スタートアップでは
"職位、機能部門の境界、役割、責任は流動的なことが多い"、
なのでそれに対処できることが必要とのこと。
これはどういうことかもっと具体的にいうと、予期しない昇格や降格、チームの異動や変更、自分の仕事内容や役割内容の変更・変化が頻繁にあるということです。
さらにいうと頻繁な変更・変化がだいたい朝令暮改でなされます。
場合によってはあなたがした仕事の成果の検証もされないまま、経営者の感覚で逆の方針が出るかもしないですし、
営業でノリに乗っているときに総務やってくれ!と言われ、しぶしぶ承諾した3カ月後にまた営業に戻るよう指示されたりします。
そういう環境では人によっては良いように扱われているように感じるかもしれないですし、あるいは自分のキャリアが台無しにされるように感じるかもしれません。
逆に人によっては経験の幅が広がって楽しいと感じるかもしれません。
ちなみに私の最初の会社もほんと、こんな感じでした。
ベンチャーだとこういう不確実性とか曖昧さに耐性があって、かつポジティブに受け入れられる人が向いているのですが、これは向き不向きが出ます。
2現状打破できるかどうか
色々な問題に対する解決能力が高いかどうか、ということです。
再度引用すると、
"スタートアップで働きたいならば、問題を解決し、解決方法をより効率化し、それを反復可能し、以降はその方法を反復し続けることを常に試みるような人物でなければならない"
とのこと。
まぁスタートアップで働こうという人で、この点に自信がない人ってあまりいないような気はしますが、ただ同じ問題解決でああっても大企業とスタートアップの場合、勝手が違うので注意が必要です。
まず大企業の場合使えるリソースが違います。たとえば契約に絡む法的な問題があったとき、大企業なら社内の有能な法務担当者に相談できます。ベンチャーの場合、自分でその分野に強い弁護士を探すところから始めないといけなかったりします。
また大企業の担当する領域が分かれているので解決すべき問題は自分の経験のある領域中心ですが、ベンチャーの場合1であるように領域も曖昧なので、なんだか手掛かりのない問題に対処する羽目なります。
私も一度、営業なのに自社ウェブサイトのコンテンツ企画をすることになって何から手をつけたらいいのか途方に暮れたことがありました。
そういう意味で大企業との勝手の違いを覚悟しておいた方がよいです。逆にこういう話を聞いてワクワクできるようなら向いてるかもしれません。
3オーナーのように思考する
ベンチャー・スタートアップでは、
"自分の職務だけではなく、会社のあらゆる側面について、心から気にかけることのできる人物でなければならない"
とのこと。
これもこれだけ読むとふーん、という感じなのですが、実際ベンチャーでこのメンタリティでやろうとするとどうなるか。
ベンチャーはリソースがありません。リソースがない中で「あらゆる側面について気にかけ」ようとすると必然的にだれもかれもハードワークになります。
あとこの記事では、"自社への深い思い入れが期待される"とも書いています。英語でいうオーナーシップっていうのはつまりそういうことですが、こういう思い入れっていうのは、
- 経営者とうまく行っていて、
- ビジネスモデルにも共感を感じている
間はだいたい維持できます。
なんですが、人間なので経営者との関係が悪くなることもあれば、ベンチャーならビジネスモデルをピボット(転換)することもあります。その結果全然興味のない事業をやるはめになったりもします。
こうなるとオーナーシップを維持するのが難しくなるのでそういう覚悟も必要です。
属性的な向き不向き
ここからはベンチャーの中でも特に創業フェーズのスタートアップについての個人的な所見です。
創業フェーズのテック系のスタートアップの場合、年齢なんかの個人的な属性も向き不向きに影響します。
たとえばシリコンバレーの有名なアクセラレーター(ベンチャーキャピタルに学校的な機能を足したようなもの)であるYコンビネータの創業者、ポール・グレアムは「25歳・独身」が起業に最適だと言っているそうです(※)。
これはテック系のスタートアップについて言えば事業立ち上げのスピード感が極めて重要なために、多くの場合猛烈な労働が必要なためでしょう。体力が必要ですし、家庭への影響を気にしなくていいというのは起業のみに関していえば有利に働きます。
また彼は(特に彼の専門とするテック系についていえば)スタートアップに必要なのは二種類の人間で、それは金持ちとハッカーだとも述べています。
で、問題は金持ちとハッカー両方がいる場所って限られていて、日本の場合基本的に都市部になってしまうんですよね。
なのでそういう所に住居を移せる「身軽さ」も大事かなと思います。
スタートアップ界隈でのキャリア形成を考える場合、スタートアップ一社一社の成功確率の低さを考えると、一社でコケてしまっても早々に別のスタートアップに身を移せるのはメリットです。
まとめ
ということでまとめると、ベンチャーに向いているタイプの人というのは
- 不確実性に対処でき
- 現状打破が可能で
- オーナーのように思考できる
タイプで、特にテック系スタートアップであればそこに、
- 若くて独身
- 住居を移せる身軽さ
といった属性が加わるとなお良いということになります。
まぁこの手の話には例外がつきものなので、参考までにという感じですが。