不思議とこのところ新規感染者数は落ち着いていますね。一方で東京の繁華街を歩くと外国人観光客の不在にも関わらずかなりの人手となっています。レストランなんかも結構賑わってる光景を見かけますし、要点を抑えた対策をしていけば経済を稼働していっても大規模な感染拡大にはならないということなのでしょうか。
さて今回も最新の転職マーケットの動向をを見ていきたいと思います。
有効求人倍率は右肩下がり
まずは厚労省の出している有効求人倍率を見てみましょう。これはハローワークのデータがもとになります。ちょっと小さくて見づらいですが左が年次推移、右が去年8月以降の月次推移です。折線が求人倍率を表しています。
(クリックで拡大できます)
ここでちょっと年次推移グラフを見てみましょう。求人倍率が底をついているのが平成21年度、2009年4月~2010年3月の期間ですね。この時はめちゃくちゃ悪くて、0.4〜0.5倍くらいです。やはりこれくらいの数字になるとほとんどの業界・職種で転職に苦労します。
さてここで直近の数字を見ると、今年8月の全体求人倍率が1.0倍に近づいてきています。この分だと9月は節目の1.0倍を割るかもしれません。
これをどう見るかですが、平成25年度(2013年4月~2014年3月)の倍率がちょうど1.0倍くらいでした。私の間隔ではこの年はそこまで売手市場ではなかったものの、特に転職しづらいというマーケット感ではなかったですね。ただ右肩下がり基調ですし、どこまで倍率が下がるか読みづらいとい怖さがあります。
DODAの倍率は下げ止まり?
つぎにDODAの転職求人倍率(https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/)
を見てみたいと思います。こちらはDODAというサービスが抱えている総求人数を転職希望者数で割った数字なので、都市部のホワイトカラーの方の場合こちらの方が参考になります。
これを見るとこの3カ月ほど全体の求人倍率が1.6~1.7あたりで推移していることが読み取れます。こちらのほうはこの3カ月下げ止まっています。
業界ごとにブレークダウンした数字も見てみましょう。業界ごとの今年8月と去年8月それぞれの倍率と、両者の差を入れています。
意外とIT/通信の下げ幅が大きいですね。これは在宅特需系を除くIT投資が抑制されている結果ということでしょう。ただそれでも5倍近い倍率ですから、やはりとんでもない人手不足です。またIT/通信に次いでメディア・サービスの下げが大きいです。
逆に下げ幅が小さいのは金融で、この業界のディフェンシブさがよく分かる数字です。小売/外食も下げ幅が低いですが、そもそもこの業界がDODAで採用するのは特定職種に限られるので(外食のホール・キッチンやアパレル販売員等は他職種にくらべあまりDODAやリクルートエージェントをつかいません)注意が必要です。
この表を見ると、コロナ不況の影響の程度が業界によってかなり異なることが良くわかります。これはほとんど全業界やられてしまったリーマンの時と違う点ですね。
今は転職してもいい時期なのか?
それで気になるのは今は転職してもいい時期なのか?もう少し待つべきか?という点だと思います。結論からいうと、基本的に上記の表で1.5倍を上回る業種、IT/通信・金融・メディカル・サービスについてはマーケットバリューがボロボロでもない限り問題なく転職できるでしょう。ただし上述したようにIT/通信の中にもいろいろな業界がありますからもう少し見極めが必要ですね。
また、もうちょっとマーケットが上向くまで待ちたい、という人もいます。この場合いつ頃まで待つべきでしょうか?もちろんこればかりは何とも言えないですが、目安はあります。
上の表の、差の代わりに2014年8月時点の倍率を入れた表がこちらです。
これを見ると、2014年8月時点では商社/流通、小売/外食を除いてどの業種も1.5倍以上になっているのが分かります。
こうなると日本中でどの業種も人手不足感が出てきていますから、未経験転職を実現させたり、身の丈以上の優良企業に転職したりといったチャンスが出てきやすいです。
いわゆる売手市場で転職したい、それまで待ちたい、という方はだいたいこれくらいの水準になるのを待つと良いかもしれません。ただし現時点ではコロナ不況がどれくらい長期化するかの見通しはかなり不明瞭ですから、「待ち」の選択肢は少しリスキーですね。
また未経験転職を実現するにはおおまかな上限年齢がありますから、自分の年齢とも相談になりますね。