キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 現在は不定期更新

キャリアの足かせになる思い込み

この仕事、採用とか転職絡みの仕事をしていると多くの人が<強力な思い込み>によってキャリアの幅を狭めてしまっていることに気づきます。

 

メンタルブロック、アンコンシャスバイアス、ブレインロックなど様々な表現がありますが、要するに私達は
●●はXXでなければならい
●●はXXであるべきだ
といったある種の信念に囚われがちということです。

 

お話しを伺っていますと、こういう思い込みはとにかく周囲の価値観に影響されてできていることが多い。

 

人間は環境から強く影響を受けますが、これがポジティブに働けば前回も触れた「人的資本の外部性」として良い結果をもたらします。

たとえば進学校にいると周囲の刺激で成績が伸びるような、良い外部刺激のこととです。

 

一方で上述したように外部環境からの影響は私たちの物の考え方をしばってしまうこともあります。最近はそういうことを「呪い」なんて表現したりもしますね。これはキャリアについても同様です。

そこで今日はその代表的なものに触れて、こうした思い込みを客観視できるようにしたいと思います。以下具体例を挙げていきましょう。

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会社はなるべく続けるべきだ

辞める人間は負け組だ、なんていう表現もあります。最近は減ってると思いますが、それでも保守的な会社・保守的な土地ではこういう思い込みが強く根付いていたりします。

~年は1つの会社にいるべきだ

ネットでもこういう表現はたくさん見かけますね。

かくいう私も下記のエントリーで、マーケットバリューの観点からできたら3年はつとめた方が良い、と書いているのですが、

短期離職はどのくらいまで許容されるのか?【人事の本音】 - キャリアについてのよしなし


とはいえこれもあくまで一般論にすぎません。会社が自分のモラルと決定的に反するような違法なことをしているとか、今にもメンタルを病みそうだとか、ケースバイケースで考える必要があります。

自分はこの仕事が向いている・この仕事が天職だ

今の仕事への満足度が高い場合にこう考えるケースが多いですね。それ自体はいいのですが、問題はこの思いに囚われてしまい、新しい仕事へのチャレンジに過度に後ろ向きになってしまうときです。

 

今の時代ある職種が消滅したり、あるいは同じ職種でも求められる動き方が大きく変化したりといったことが起きます。

こういった中では自分はこの仕事しかしたくない、できないというような不必要な思い込みは捨てるべきですね。

自分はこの仕事が向いていない

逆に現職であまり評価されていない(と自分が感じている)ときに生まれやすいですね。

 

同じ業界・職種でも成果を上げるためのツボは違います。また会社によって同じ成果をあげていても評価が変わります。これは評価基準が異なるためです。

 

このように、成果やその結果得られる評価は絶対的なものではなく、同じ職種だとしてもおかれた環境によって大きく変わるものです。

 

自分はXXX円くらいの年収を得られるべきだ

周りの同僚や自分の友人などと比べて、自分の年収が低い場合にこういう思いを抱くケースを見かけます。

努力家で、頑張って素晴らしい経歴を形成されてきたタイプに多いですね。

 

このサイトでは何度も書いているように年収というのはなかなか水物ですし、努力でどうにかできる部分とできない部分があります。

 

なのであまり他人と比較してフラストレーションを貯めるより、自分の絶対的な幸福度から照らし合わせて今の給料が充分かを考えた方がいいですね。

 

年収XXX円くらいないと生活できない

とくにシニア目の方に多いですが、希望年収水準を高く設定しすぎるがあまり、転職できなくなってしまっているケースがあります。

生活水準を下げることを受け入れてしまえば、転職の幅が広がって返って幸福度が上がることもありますから、時にはこういう思い込みにとらわれていないか考えてみることも大事です。自分を安売りする必要はないですが。

 

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