キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成のセオリーを解説します 毎週木曜を含む週1〜2回更新

「えっ、私の年収低すぎ?」はなぜ起きるのか - (プロが教える年収アップ戦略⑤)

 

年収アップ戦略の5回目です。今までの回はこちら↓

(戦略①) 基本的な考え方、年収上がり幅÷投下労力を最大化する

(戦略②) GAFAの儲けに乗っかって年収を上げる方法

(戦略③)東京で消耗する価値とは?

(戦略④)未来のマーケットバリューに継続投資し、好況時に回収する

【目次】

例の広告の意味するところー「年収低すぎ」はなぜ起きるのか?

もはや古典的なインターネットミームと化している例の広告(えっ・・・私の年収低すぎ?っていうやつ)ですが、この「年収低すぎ」が発生するのはどういう時なのでしょうか?実はこの問題を考えることで一部の人が簡単に年収アップできるようになります。

 

結論からいうと、

マーケットのロジックと経営者の意志の間に歪みが生じているとき

に年収低すぎが発生します。今日はこれについて解説していきましょう。

 

第1回の記事で、年収アップ戦略のもとになる「世の中の年収決定に関する仕組み」を紹介しました。そのうちの一つが

【一人一人の年収は「給与原資×分配方法」で決まる】

というものです。

 

ここで大事なのはこの分配方法には正解がないということです。そのため、分配方法には経営者の意思が反映されます。この「人間(経営者)の意志」が介在するがために、わたしたち一人一人のお給料はしばしば非合理的に決まります。

 

一方でお給料の市場相場はマーケットの論理である程度ロジカル・合理的に決まります
そしてこのマーケットのロジックと人間の意志のあいだの歪みを解消すると簡単に年収が上がるのです。

 

経営者の意思というのは実際には人事制度という形であらわれてきますから、まずは自分の会社がとっている人事制度を客観的に理解することがポイントになります。

 

年収低すぎ問題の根源はだいたい人事制度

日本でメジャーな人事制度は大きく分けて2つあります。

①メンバーシップ型・・・「その会社の社員(総合職・一般職)」としての総合的な能力を評価する制度

②ジョブ型・・・専門家としての能力を評価する制度(ジョブ型)

 

①(メンバーシップ型)は日本の伝統的な人事制度です。そもそも総合職って、ぱっと見ナゾじゃないですか。職種の説明になってない。なんですけど、この制度だと専門家ではなくて、【社員】としてのトータルな能力を評価するので、もともとあまり職種という考えがありません。
ここで重視されるのは社内の相対評価であって、あまり市場相場(マーケットプライス)は考慮されません。そうすると経営者の意志がめちゃくちゃ入ってきます。なので転職マーケットのロジックと歪みが出やすい。

一方で②(ジョブ型)はその人の専門能力を市場相場と照らし合わせて年収を決めます。なので歪みがでにくい。

 

ここまでの話でだいたい想像できるかと思いますが、年収低すぎになる理由の大半は②ジョブ型だと良い年収をもらえる人が、①メンバーシップ型の制度の会社で働いているケースです。こういう人は②ジョブ型の会社に転職するだけで年収が上がります。

では具体的にどういう風に歪みがでるか見てみましょう。

 

経営者の意志その1・若手には低い給料で働いてほしい

まず多いのは、若手は低い給料で働いてもらい、長年勤めてくれたベテランに高い給料で報いたいという年功序列パターンです。

 

たとえば「22歳で新卒でこういう会社に就職し経理を5年経験した27歳」の例を考えてみましょう。

この場合、経理しては5年の経験があっても、社員としては「定年まで40年ある中でまだ5年目」と見なされるので年収低すぎになります。

 

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こういう人は転職でジョブ型の会社にいくと歪みが解消されてスコンと年収が上がります。

 

経営者の意志その2・単身者には福利厚生出せない

次にあるのが、配偶者や子供を持つ社員には福利厚生を手厚くしたいというパターン。言い方をかえると単身者が手当・福利厚生から外れちゃっているケースです。

 

こういう会社では結婚して家族を持つというのがスタンダードなモデルとして想定されているので、中年・独身・実家住まい、みたいな人は基本給しかもらえないのでちょっと損します。こういう時に基本給の高い年俸制・手当なし!みたいな会社にうつると年収アップします。

 

ジョブ型の会社にいても給料低すぎになることがある

ちなみに経営者の意志はあまり関係ないですが、ジョブ型の会社でも給料低すぎになることがあります。それは大抵、

「業務範囲<スキル合計値」

の場合におきます。

どういうことかというと、たとえばジョブ型の人事制度を採用していることが多い外資系企業だと職種が細分化されていて、だいたい一人ひとりの仕事の範囲が狭いんですよね。
すると、活用されていない「休眠スキル」が生まれることがあります。

 

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よくあるのは特定の業界にのみ使えるノウハウが休眠してるケースです。

例えば私(人事採用担当)の場合、医療関係職(看護師や薬剤師など)の採用ノウハウを持っていたりするのですが、これを活用すればより高い収入を得られる可能性があります。実際に、いまの会社に入社する時にはヘルスケア系の会社から今の会社より200万円高い年収のオファーがありました。結局別の理由でその会社はお断りしたのですが、大事なのは「どのスキルを仕事で使うか」を上手に選択すると年収を効果的に上げられるということです。

 

自分の持っているどのスキルが高く売れるかは通常判断しづらいので、これはエージェントに相談すると良いでしょう。

 

良いエージェントだと、自分の持っているスキルを上手に因数分解した上で、どう取捨選択して会社探し・会社選びをすべきか相談に乗ってくれるものです。

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なお逆に勤続年数が長いと(社員としての能力が高まっているという建前のもの)もらいすぎ=オーバーペイド(Overpaid)にっているケースもあります。この判断は非常に重要なので別エントリーでも書く予定です。

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