キャリアについてのよしなし

元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成のセオリーを解説します 毎週木曜を含む週1〜2回更新

応募可能な求人が少ない場合に選ぶべきエージェントとは

なんかまだ8月だというのに既に若干秋の気配ですね。私は夏が苦手なので嬉しいです。


さて今日は「応募可能な求人案件が少ない時はどういうエージェントを選ぶべきか」というのがお題です。エージェントとの面談で、「実は希望される条件に沿う求人が少なくて…」といわれたことのある人は少なくないと思います。


これには

  • 希望が狭すぎる(〇〇業界の年収XX円以上の〇〇のポジションで、現住所から電車で30分以内の求人だけ希望します!みたいな)
  • 経歴がやや荒れてしまっている(短期転職が多すぎるなど)

などなど色々な背景が考えられますが、数少ない応募案件をモノにしたい!という点では同じかと思います。

 

それでいきなり結論ですが、応募可能な案件が少ない場合、グリップが強いエージェントを選ぶ必要があります。


グリップとは

グリップというのは一部の人材紹介会社界隈でのちょっとした業界用語で、エージェントがひとつひとつの募集案件の状況把握やコントロールをどれだけできてるかを指します。たとえば、

  • 企業側が他にどれくらい候補者を抱えているか?
  • 各候補者のその時点での優先順位や進行度
  • 企業側が思い描いている全体的なスケジュール
  • 企業にとってどれくらい急募か?どれくらい妥協できる採用なのか?
  • どういう面接をする傾向があるか?具体的な質問内容は?

といった情報を握って(Grip)、そのエージェントの担当する人材に有利になるようネゴする能力ですね。


それってそんなに大事?と思うかもしれないですが、求人と対象となる候補者いずれも少ない「一期一会型の採用」になりそうなケースではこれが決定的に重要だったりします。


グリップの効いてないケースでは…

ちょっと例を挙げましょう。ある企業A社が「英語のできる個人情報保護のスペシャリスト」を募集しているなか、たまたまドンピシャのスキル・経験を持っているBさんが応募したとします。

(ちなみにこの手の求人、最近ヨーロッパで個人情報に関する規制が変わったことで、実際に一部の企業でニーズが出てきているものなんですが、いまのところ求人もできる人もめちゃくちゃ少ないです)

エージェント「Bさん、A社の書類選考通過しました!さっそく面接日程を調整したいので、都合のつく日を教えてください。」

Bさん「ありがとうございます!A社は第一志望なんです!!今週はちょっと忙しいので、来週後半の日程を送りますね!」

エージェント「分かりました!じゃ来週後半で調整しますね。また連絡します。」

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(2日後)

エージェント「Bさん、すみません…。日程調整中のA社の件、残念ながら他の候補者で決まってしまったようで、今回は面接をキャンセルしたいそうです。」

Bさん「えー!??でも面接依頼頂いたのは一昨日ですよね?」

エージェント「そうなんですが、A社が同じタイミングでもう一名候補者にも面接依頼をされていたようでなんです。それでその方が昨日面接に行ってその日のうちに内定まで出てしまい、即承諾したようなんです」

Bさん「これってそんなに急ぐ募集だったんですか???」

エージェント「例の欧州の規制の関係で、企業としては1日も早く決めたかったみたいなんです」

Bさん「そこまでですか・・」

エージェント「加えてその方の書類選考でのスキルの評価が高かったみたいで、最初から企業側も期待していたようです」

Bさん「でもせめて面接でアピールしたかったです。スキルでは見劣りしてもコミュニケーション力には自信があったので…」

エージェント「お気持ちよくわかります。ただもう1名の方は他社でも内定が出ていて、そちらへの回答期限の兼ね合いでA社に今週中の結果回答を求めていたみたいなんです」

Bさん「そうですか…残念ですね…」

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この場合、もしあなたがBさんで、赤字の部分を全て事前に知っていたとしたら忙しくても無理矢理都合をつけてその週のうちにA社の面接に行っていたと思いませんか?

えっ、エージェントってそこまで把握できるものなの?と思うかもしれませんが、グリップの強いエージェントだとこれができるんですね。

このケースではもう1名の候補者のエージェントは強めのグリップを発揮していたことがうかがえます。実際私のいた会社でも多くの人がここまでやってました。


グリップが重要なケースとは

特にこのどれだけグリップできているか?が重要になるのが以下のパターンです。
①エグゼクティブ級の人がエグゼクティブ級のポジションを探す場合
②限られた特定の範囲でしか募集していないポジションを探す場合


こういう案件はとにかく数が少ないので、エージェントとタッグを組んで戦略的に動いて、少ない案件を確実に仕留める気概で活動する必要があります。なので逆にそういう動きになれているエージェントが望ましいですね。


どういうエージェントがグリップが強いか

最終的には担当者次第なのがエージェントの常ですが、それでも傾向はあります。


まず企業担当と求職者担当を一人の人が兼ねる両面型(一気通貫型)のエージェントは概してグリップ強めです。逆に分業型は弱めです。その代わり分業のエージェント(多くは大手です)は案件が多いことが多いですね。


あと社風的にノルマがきつくてマネジメントも厳しいタイプの会社(苦笑)


こういう会社は一件一件について経験豊富な上司が担当エージェントをマイクロマネジメントしてくるので、結果的に細かい状況把握やネゴがなされているケースが多いように思います。


ただしこういう会社は概して押しが強めなので(「この求人は絶対応募しましょう!」とか「このオファーは絶対受けるべきです!」みたいなことを言ってくる感じ)、自分を強く持って転職活動する必要があります。


自分に合ったエージェントを選んで上手に転職活動しましょう。

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