ということで前回の続きです。前回記事はこちら↓
前回のおさらいですが、世の業種は
労働集約度の高い・低い
現時点での労働生産性の高い・低い
という2軸で分類することができます。
そして高年収を狙うためには【まずは上半分、労働生産性の高い業界に入ることを目指す】【それが無理なら③労働集約度の低い業界に入り、その会社の成長によって上半分にスライドしていくことを狙う】ことが大事だと書きました。
今回はこの各カテゴリーの特徴、どういう会社が含まれるか、さらにそのカテゴリーごとに高年収を狙っていくための就職・転職時の確認ポイントを解説していきます。
まずは早速ですが各カテゴリーの代表的な業種としてはこんな感じです。
①【労働生産性高・労働集約度低】大手のソフトウェア・インターネット・製薬・投資銀行など。いわゆるレントの高い業界はここで、一番高年収が狙えます。(レントについてはこちら→ (プロが教える年収アップ戦略②) GAFAの儲けに乗っかって年収を上げる方法)
②【労働生産性高・労働集約度高】コンサルティングや弁護士等の士業、高級な飲食・サービス業など
③【労働生産性低・労働集約度低】収益につながるIP等をまだ確立できていないITベンチャー、バイオベンチャーなど。このカテゴリーの企業は成長すると①にスライドします。
④【労働生産性低・労働集約度高】飲食業、サービス業など
つづいて各カテゴリーをもう少しくわしく解説しましょう。
① 労働集約度低*生産性高(レバレッジ型)
このカテゴリーは2パターンに分かれます。
一つは知識・アイデア集約型の会社です。具体的には業種の例はこんな感じです。
・ソフトウェア(GAFA (Google, Apple, Facebook, Amazonとか))
・デザイン・ブランド力重視の高級消費財メーカー
こういう業界は画期的な発明やすぐれたデザインといったIP(知的財産)があることが重要で、原価は相対的に低い(あるいはゼロ)に抑えることができます。一方で製品は世界中で売ることができる(=スケールする)ので必要とする人手以上に利益が伸びていきます。
もう一つは資本集約型の会社です。
・投資銀行
・資源(石油・天然ガス)
事業を始めるのに巨大な元手が必要で、高い参入障壁がある業界です。そのため後発参入が困難で、何十年も同じ顔ぶれが幅をきかせています。給与がたかく就職難易度もものすごく高いです。基本的にはスーパーエリートで固められています。
またこの両者の特徴を持つ業界もあります。例えば製薬メーカーは新薬開発にものすごいお金がかかるので資本集約的ですが、画期的な新薬を当てさえすれば、クスリ自体の製造原価は安いのでとても儲かり、知識・アイデア集約型の側面もあいります。
さてこのカテゴリーにおける就職時の確認ポイントですが、このカテゴリーは基本的に就職できるならラッキーという一般的な優良企業が多いです。ただし社員も優秀な人が多い分、生き残るのが難しいケースがあります。したがって自分の資質や能力が会社とマッチしているかが大事です。
②労働集約度高*生産性高(高度サービス型)
このカテゴリーも二つに分かれます。
一つはプロフェッショナルサービス型の会社です。
・コンサル
・受託開発のSIer
・弁護士
・ヘッドハンティング
コンサルや弁護士なんかが含まれます。こういった仕事は報酬が高額なので生産性が高いが実は労働集約的なビジネスです。余談ですがこういう業界で会社がうまくいくかはほとんど採用で決まります。良い人を採れれば勝てる業界です。
もう一つはラグジュアリーサービス型の会社です。
・高級レストラン
・高級ホテル
・自由診療の病院・クリニック
これらも単価は高いものの、結局人間を必要とするため労働集約的です。こちらは採用も大事ですが、それ以上にブランド力が必要とされます。すき●やし次郎とか、聖●加国際病院とか、そういう世界ですね。
いずれも顧客と直接接するフロントオフィスの人たちが稼ぎのタネなので、ミドルオフィス・バックオフィスとの間に明確な上下関係や報酬格差がある会社が多いのもこのカテゴリーの特徴です。
(フロントオフィス・ミドルオフィスといった職種カテゴリーについては下記を参照)
会社選びにおいては、ここもカテゴリー①(レバレッジ型)と同じく、優秀な人達との競争の厳しい業界です。したがって会社とのマッチが大事です。また上述の通りプロフェッショナルサービス型ならその会社の採用力、ラグジュアリーサービス型ならその会社のブランド力を確認しましょう。
③ 労働集約度低*生産性低 (ベンチャー型)
基本的に業種としては①(レバレッジ型)のカテゴリーと同じで、ソフトウェア等です。このカテゴリーの企業がうまく成長できると①にいきます。ただしそのためには代替エネルギー系ベンチャーのように巨額資本を必要とするケースもあります。
・独占的地位を築けていないネットベンチャー
・シード段階のソフトウェアベンチャー
・風力発電のベンチャー
このカテゴリーの会社に就職する際には、①(レバレッジ型)にスライドできる可能性の有無が確認ポイントです。その会社の技術力はもちろん、充分な資金力や財政余力の有無を確認すべきです。
④ 労働集約度高*生産性低
後追い型のメーカーや普通のサービス業の多くがここに入ります。
他社の後追いで低付加価値・低利益率製品をつくる廉価品メーカーだと生産量を増やさないと利益を伸ばせません。生産を増やすためには人員が必要なので労働集約的になります。基本的には人件比率を高めにくい構造なのです。
対人サービス業の多くもこのカテゴリーに入りますが、一方で顧客と直接向き合うぶん、一番直接的なやりがいを得られやすい業界でもあります。そもそも人間の一番本質的な仕事ってこういう領域なんじゃ…という気もします。
またこの4つのカテゴリーの中で、就業人口が最も多いのも④です。
このカテゴリーで高年収を狙うには、いずれ転職によってカテゴリー②(高度サービス型)の会社に移るのが基本戦略になります。したがってそのために必要なスキル・経験を得られそうかが就職するかの判断ポイントです。
なおこのカテゴリーに留まりつつ年収を上げる方法がないわけではありません。ただしそれには以前紹介したように①のカテゴリーへのサービスプロバイダーになるなど、一工夫が必要です。この戦略についても下記の記事に詳しいです。
ということで各業界解説でした。
就職先・転職先選びの参考にしていただければ幸いです。