今回は前回からのつづきで、外資への転職で特にカルチャーとかの面でつまづくポイントを解説します。
前回記事はこちら↓
働きやすい環境だったはずが
ちょっと話をわかりやすくするために、私が一番慣れてる米系外資を例にとってみます。
ある人が米系外資に入ります。そしてウェブ会議や出張などでアメリカ人上司にレポートしたり、一緒に働く機会が増えてきます。
すると彼らの感じのよさ、ファーストネームで呼び合う習慣、オープンな意見交換を好む姿勢などに感銘を受けるわけです。
それで、
「外資って働きやすいなー」
なんて思います。
それでその調子で思ったこと感じたことをどんどん言っていくわけですが、そのうちに気がついたら上司が怒ってしまっている。あるいは「ビジネスの足を引っ張るやつ」みたいな評価がつけられてしまっている。
・・・というのが私が外資の世界に入ってから結構頻繁に見る光景なのです。なぜこのようなことになってしまうのでしょうか。
日本のカルチャー、アメリカのカルチャー
フランスの世界トップレベルのMBA、INSEAD(インシアード)の教授、エリン・メイヤー氏はさまざまな国ごとのビジネスコミュニケーションにおける文化の違いをリサーチにしました。
その内容を本としてまとめたのが異文化理解力という本です。
(後日リンク貼ります)
この本とても面白いので外資系やグローバルビジネスに興味のある方には本当におすすめなのですが、
同書によると日本は役職付けで呼んだりと上下を強く意識させられるようなカルチャーを持つ一方で、意思決定は合議的・コンセンサス重視です。
で、アメリカはというとアメリカの企業カルチャーはたしかに平等でフラットな面を持つ一方で、意思決定はとてもトップダウンなのです。
つまり普段働いている時は、まるで友人のようやカジュアルさを重視する。また意思決定を下す前までの間はたとえ上司だろうが反対意見を言っても許される。しかし意思決定は上司によるトップダウンでなされ、一度下された意思決定には従うことが求められます。
要するに日本と逆なんですね。
出典:https://www.dhbr.net/articles/-/5079
私がアメリカの会社で働いていて良く目にする失敗がここにあります。
つまり、米系外資にはいるとファーストネームで呼び合う文化とかで、まず組織(ヨコ軸)の変化が目につきます。
意思決定の変化(タテ軸)に気がつかない。
上の図でいうと左側のオランダとかデンマークのゾーンに移ったように錯覚するわけです。
冒頭で挙げた例でいうと、この人の上司が気がついたら怒ってしまっていたのはすでに意思決定がなされているにもかかわらずネガティブな意見を続けてしまったためです。これは外資経験ない人の失敗で結構見かけます。
ついでに言えば前回も解説したように、外資系企業というのはあくまで日本における子会社です。
したがって彼らは圧倒的にボスなのですが、そのあたりが米系外資だとカジュアルな雰囲気で見えづらいんですね。
こういうアメリカ人特有の、「決定するまではけんけんがくがくの議論をするが、決定すれば決定に対して従順なカルチャー」はアメリカの大統領選を見ると明らかです。決まるまでは結構口汚く罵り合ってたのに、一度決まると笑顔で握手してコングラチュレーションとかやっていますので。
なぜ外資系に転職するときに失敗するか
前回解説したように、外資系企業の日本法人とは本社の縮小コピーのようなものです。
多かれ少なかれ本社のある国=本国の文化やビジネスコミュニケーションの慣習をひきずります。
だから半分異国なんですね。
そうすると上述した組織や意思決定、あるいはその他のいろいろな軸で「一般的に好ましいとされるコミュニケーションの規範」が変わってしまいます。
それに気づかないと失敗しやすい。あるいは気づいていても自分をアジャストできないと失敗しやすい。
コミュニケーションというは癖や習慣がつきやすいので、わかっててもアジャストできないことがあるんですね。なので早いうちに、少なくとも自分の中に2つ以上の文化を取り入れる経験をしておく方がよいと思います。そんなわけで外資系に興味がある場合は30代の終わりまでには一度働く経験を積んでおくことをおすすめしています。