キャリアについてのよしなし

MBAで元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成の戦略と定石を解説します 現在は不定期更新

転職の上限年齢・限界年齢は実際のところ何歳なのか

40代・50代の転職が難しいって本当?転職の上限年齢は 何歳?最初の転職は何歳までが望ましい?転職の年齢にまつわる疑問を元エージェント・外資系企業採用マネージャーの視点で解説します。

【目次】

転職するだけなら50歳前後でも可能だが、最初の転職は35歳くらいまでが望ましい

転職の上限年齢は何歳なのでしょうか?実際のところ転職自体は50代でも実現できます。私の会社でも50代の方を採用することもあります。

 

もっと言えばヘッドハンティング界隈でCxOとかC-Suiteとか言われる、いわゆるエグゼクティブの世界では50代の転職もごく普通に行われています。


ただし元エージェント・現採用マネージャーとして言わせていただくなら、最初の転職だけはできれば35歳くらい、遅くとも40歳くらいまでにするのがオススメです。

 

40代以上で過去に転職したことがないと、面接通過率が下がりますし、転職自体を成功せさせるのも難しくなります。

 

これは職場を変えて自分を新しい環境に適応させるというのはそれ自体がひとつのスキル・経験値だからです。

 

転職とは行動パターンのアジャスト

転職というのは「これから入る会社」について
* 意思決定カルチャー(たとえばトップダウンか合意型か)
* 意思決定のプロセス(誰にどう根回しをすべきか)
* 組織風土(たとえばヒエラルキーが強いかフラットか)
* 評価のポイント
といった様々な要素を理解し、それらに対して自分が過去培ってきた行動パターン(コンピテンシー)をアジャストしていく作業です。

 

(その会社でどんな行動パターンが求められているかを理解するためには、たとえばマッキンゼーの7Sのフレームワークにおける「ハードのS」なんかを用いた分析が有効です)

 

出典:https://www.salesforce.com/jp/blog/2015/11/7s-for-change-organization.html


この「自分をアジャストする」作業の際、一度も転職をしたことがないと新しい職場を理解するための物差しは新卒で入った会社1社だけです。そうすると「ここは前職と似ている」「ここは似てない」みたいな、イチかゼロかの理解になります。

 

一方で一度でも転職をしたことがあれば、1社目と2社目と新しい会社、この3つの会社を比較することによってより立体的に転職先を理解できるようにないります。

 

またこの自分をアジャストする作業というのはある種の柔軟さが必要になります。

 

そのため1社のみで20年以上勤めてこられた方の場合、年齢もあってこうした柔軟さが失われているのではないかと考える企業が多く、これが選考通過率の低下につながります。(もちろん40代以上でも柔軟は人はいますし、絶対転職できないわけではないです。念のため)

 

勤続ボーナスのない生身で戦う難しさ

また、1社で長く仕事をしていると、たいてい社内で築いたネットワークや暗黙知の理解、社内での評判などの色々な理由によって、自身のパフォーマンスにある種のボーナスがついている状態になります。このとき報酬もそのボーナスが乗ったパフォーマンスに基づいて得ていることになります。

 

それが転職することで、20年ぶりくらいにそのボーナスの剥がれた生身で戦うことになる。すると1社目で発揮していたパフォーマンスと転職先に入ってすぐの時期に発揮できるパフォーマンスとの乖離が大きくなり、「こんなはずでは・・・」という感じで自信を喪失するケースも見かけます。これも企業が40歳以上で転職経験のない方の採用をためらう理由です。

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一方、良し悪しはともかく何年かに一度転職をしている場合はその都度培ってきた勤続ボーナスを剥がされているので、生身で戦うことに慣れているわけです。

 

こうしたさまざまな理由から、40代以降の初転職者が転職をきっかけに坂道を転がるようにキャリアダウンしていくケースが一定程度あります。

 

最初の転職を35歳くらいまでにすることがおすすめ

さてこれは私の感覚値でしかないですが、35歳あたりまでであれば意外とすんなり転職先に適応するケースが多い。

これは日本の多くの会社で最初に肩書きがつきはじめるのが35歳あたりであることが多いことも理由のような気がします。

 

つまり35歳くらいまではまだ若手と見なされているので、転職者本人が妙なプライドを持つこともなければ企業側も過度な期待を持たないで受け入れるので結構すんなりとなじめるということです。

 

そんなわけでは私は基本的に40代、とりわけ45歳を過ぎた方でこれまで転職経験がなければ基本的に現職にとどまることをおすすめしています。

 

ただしこれには例外があって、買収先や社風の大きく異なる子会社・海外現地法人などに出向・転籍したりして、環境の変化を経験した場合です。

 

こういう経験をした人の場合、上述した「自分をアジャストする経験」をしていることがあり、擬似的な転職経験をつんでいると言えます。

 

逆にいえば、若いうちにこういう経験をするチャンスがあれば積極的に手をあげましょう。そこで得られる経験はいざ転職となったときに確実に役に立ちます。

 

関連記事です。社内公募で上記のような子会社出向したり海外現地法人に移るチャンスがあれば積極的に狙って行くべきです。

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