キャリアについてのよしなし

元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成のセオリーを解説します 毎週木曜を含む週1〜2回更新

英語が今後も市場価値につながる理由とは【外資採用担当としての経験から】

AIや通翻訳アプリの精度が上がってきている昨今、果たして苦労して英語をやる必要性はあるのでしょうか?頑張って身につけた頃にはそんな英語力が無価値になってたり、なんてことはないのでしょうか?

 

英語に四苦八苦している方なら、こういう疑問を感じることもあるのではないかと思います。

 

結論から言うと私は外資での採用担当としての経験から、英語力は引き続き日本人にとって高い市場価値につながると考えています。

 

ちょっとこのことを説明するのに、なぜ現状英語力のある人材にニーズがあるのかをおさらいしたいと思います。

 

英語ニーズの本質は社内コミュニケーション

そもそもなぜ英語力に需要があるのか?一言でいうと社内コミュニケーションのためです。

 

詳しく言うと、グローバルにビジネスを展開する時の本社ー子会社間のコミュニケーションのためのニーズです。つまり、

日系の場合

本社(日本)⇆ 子会社(海外)

外資の場合

本社(海外)⇆ 子会社(日本)

この、⇆の部分をしてもらうために必要だからです。

 

こう書くと、

「日本企業が英語できる人を雇うのは英語を使って現地でビジネスをさせるためではないの?」
と思われるかもしれません。じっさい商社なんかはよく英語のできる日本人を海外に駐在させて直接ビジネスをさせています。が、まぁこれは半分研修目的みたいなものでそんなに本質ではないです。

 

どういうことかというと、
海外、どこでもいいですが例えばインドネシアでビジネスをするだけならむしろ現地のインドネシア人の方がうまくやれます。ところがインドネシア人で日本語のできる人材なんてぜんぜんいないので、いざ日本の本社にレポートとかをさせるとなると、通訳だ翻訳だとコストと手間ヒマが発生して大変なわけです。

 

そうすると、日本語のできるインドネシア人を雇うより、
・英語のできるインドネシア人
・英語のできる日本人
をセットで雇って、両者の間で英語でやりあってもらう方がまだ経済合理的だという話になります。こっちが英語ニーズの本質です。つまり社内コミュニケーションなのです。

 

社内コミュニケーションには機械翻訳では足りない

社内コミュニケーションとなると、同じ会社・同じチームの一員としてチームワークよく仕事をするために、単に伝えるだけじゃないコミュニケーションの情緒的な側面(情緒価値)が重要になります。

 

コミュニケーションの情緒価値については以前一度触れました。

www.career-yoshinashi.com 

つまり多少下手な英語だろうと「自分の声で」「自分の言葉・ニュアンスで」しゃべってること自体に意味が生まれるんです。

 

たとえば実は外資系企業に勤めていると、本社から外国人ゲストがくるたびにディナーに行くことになります。あるいは「チームビルディング」と称したワークショップの類をやる会社も多いですね。


「飲みニケーション」なんていうといかにも古くさい感じがしますが、外資系企業の社員にとって、外国人ゲストが来日したときにオフィスを離れてオフの交流をするのは非常に重要な仕事です。

 

なぜ外資がこうした場を大事にするのかといえば、国籍・文化的バックグラウンドの異なるメンバー同士が人間関係をつくる難しさを理解しているからです。とくに普段は電話やTV会議でしか話さない同士だとなおさらです。

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そんな理由があってわざわざやってる飲み会の場で、いちいち翻訳アプリを使って会話してると、一言でいうと興ざめだし肉声でしゃべるのに比べて信用を得にくい。

 

また日系・外資を問わずグローバル企業では多国籍採用が進行しているため、こうした企業で働こうとすると英語のできる色々な国の人たちと同僚になります。

 

それでこういう同僚たちと同じ飲み会に参加することになるわけですが、ここでも英語力が同僚との関係構築の成否にはっきりとした差をもたらします。

(ちなみに私も現在進行形でこの苦労を抱えてまして、中国人やドイツ人の同僚とお酒飲みながら世間話するのにヒィヒィ言ってたりします)

 

これが英語力が今後もAI・通翻訳アプリに代替されない理由です。関係構築です。繰り返しですが、自分の声・言葉で発信できること同僚と冗談を言って笑いあえること自体に意味があるので、これはAIでは補なえない価値として今後も残ります。

 

さてここまでの話の前提には、「世界には英語なら話せる人がたくさんいる」ということがあるんですが、実際のところ日本以外の国々の英語力はどんなもんなのでしょうか??

 

英語スピーカーは思った以上に多い

 インドが英語公用語なのはよく知られていますが、実はアフリカ最大の人口を擁するナイジェリアは英語公用語の国です。

 

アフリカはフランス語のイメージが強い感じがしますが、実はけっこうな数の国が英語公用語です。彼らは訛りは強いですが上手な英語をしゃべります。同じ国でも民族が違うと言葉が違うので、公用語として英語を採用している国がけっこうあるんだそうです。

 

また「公用語にはしてないものの英語が得意な国」というのがかなりあります。

 

世界経済フォーラムのサイト(https://www.weforum.org/)に良い感じのインフォグラフィックがあったのでいくつか引用しましょう。

 

上記サイトに出てくる「英語能力指数」という数字があって、これが60以上だと国として英語が得意ということなのですが、トップ10がこんな感じです。

 EF English Proficiency Index compiled annually based on adult exam results.

Which countries are best at English as a second language? | World Economic Forum

 

オランダなんかは本当に英語がよく通じます。

 

これのアジア版がこれです。青と濃い緑が英語能力指数が60以上です。高い順にシンガポール・マレーシアと続き、3位に最近オンライン英会話で有名なフィリピンがランクイン。(グラフィック小さくてすみません)

        

また中国は現状日本とどっこいどっこいですが、大量の留学生を欧米圏に送っているので現在進行形で英語スピーカーが量産されています。

 

こんな状況なので、すでに世界にたくさんの英語上手な国々がある以上、おそらく今後も英語はグローバル企業の社内コミュニケーションツールとして重要性を維持し続けます。したがって英語力は今後も市場価値を持ち続けるでしょう。

 

まとめ

ということでまとめると、

  • 英語力のニーズの本質は社内コミュニケーション=関係構築
  • グローバル企業では国籍・文化の違う人たちとの関係構築のためにナマの英語力が必須
  • 英語スピーカーは非常に多く、今後も英語は社内コミュニケーションツールとして価値を持つ→英語力の市場価値も維持される

ということです。今英語をがんばって勉強されている方は自身を持って続けてもらえたらと思います。

 

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