キャリアについてのよしなし

元エージェントの外資系採用マネージャーがキャリア形成のセオリーを解説します 毎週木曜を含む週1〜2回更新

キャリア形成の基本戦略、働きたくない人ほどマーケットバリューを高めるべき理由

今回は前回紹介した「自由度の高いキャリア」を形成していくための超大枠となる基本戦略をお話ししていきます。

 

年収アップを目指していくのであれ、ワークライフバランス等の価値観と合致したキャリアを目指していくのであれ、基本的には下の図の通り動いていくことになります。

 

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①マーケットの選択

まず最初に、あなたが個人としてこれから参入するマーケットを選択する必要があります。


よく使われる「転職市場が活況のため〜」といった文言を見ていると、あたかも世の中に巨大な単一の転職市場があり、そのどこをとっても活況になっているような気がしてきますが、もちろん実際はそうではありません。

 

たとえばリーマンショックの時期などは多くの職種が壊滅的な状況でしたが、一方で未経験MRの採用は活発に行われていました。

 

要はマーケットのどこをどう切り分けるか、そして切り分けたマーケットのどこに入っていくか、です。

 

こういう勝負する土俵の選択というのは実はちまちまとマーケットバリューを上げることよりよほど重要なんですね。

 

たとえば私の友人に弁護士がいるのですが、彼によると弁護士事務所を開業する際に事務所の経営を左右するのはまず第一に立地です。近くに競合する弁護士事務所があるか、十分な顧客がいるかといった、商圏(マーケット)の選択が決定的に重要で、弁護士としてのウデはその次なのだそうです。

 

それと同じで、誤った土俵で努力を積み重ねるより、まずは勝負する土俵を最適化することの方がよほど重要です。

 

そこで、

  • ジョブマーケットを適切に区分(セグメンテーション)するための知識を知り、
  • その中で適切なマーケットを選ぶ

ということが必要で、それがこの①のステップにあたります。詳しくは以下のエントリー。

 

 

②効果的なバリュー・プロポジション

マーケティング用語で、顧客に対するバリューの提示をバリュー・プロポジションと呼びます。

 

就職・転職においても応募する会社・今あなたがいる会社に対して、あなたのバリューを適切に提示する必要があります。

 

特に就職・転職の場合、レジュメや面接といった定型プロセスを通じて自分のバリューを効果的に伝える方法はある程度固まっています。転職が当たり前な社会で暮らすアメリカ人なんかはこのあたり実にうまくやります。

 

しかし私の感覚ですが、特に転職時に8割がたの日本人は自分の市場価値をうまく伝えられていません。

 

日本では2000年代半ばの第二新卒ブームで転職が一般化してからまだ10年少ししか経っておらず、市場価値を伝えるスキルに長けた人が少なく、このスキルを教えられる人も少ないからです。


そこでここを一工夫することでかなり優位に立つことができます。

 

③参加する会社・職場の選択

続いてどの会社・職場に参加するか(あるいは現職にとどまるか)を判断します。

当然ですが個別企業や職場の選択は収入・価値観との合致度、いずれを高めるにも大きな影響をもたらします。

このブログではおいおい「どういった判断基準でえらぶべきか」ということをケーススタディで取り上げていく予定です。

 

④マーケットバリューの向上

最後にあなたのいるマーケットにおける、あなた自身の市場価値を高める必要があります。

 

ここで大事なのは、選んだ土俵によって適切な市場価値の高め方が異なるということです。個別のマーケットの中で最適化したバリュー向上戦略があるので、それを知る必要があります。

 

もう一点大事なことは、企業にはあなたのマーケットバリュー向上を阻害する構造的な問題があります。そこでこの構造自体を理解して、適切に対処していくことがマーケットバリュー向上には必須です。


基本的にはこの②〜④のサイクルをまわしながら、必要に応じて①(マーケットの選択)に戻ることになります。

 

適切なキャリア形成戦略を実行するとどうなるか

前回のエントリーで「収入×価値観との合致度」の2軸を共に実現しやすい、自由度の高いキャリアを目指そうという話をしました。

 

www.career-yoshinashi.com

 

適切な戦略をとることで、この「年収×価値観との合致度」の座標軸上で右上に位置付けることが容易になります。 

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適切な「①マーケットの選択」と「③参加する個別の企業・職場の選択」は、上の座標のあなたの位置どりを右上に押し上げることができます。

 

たとえばジョブマーケット(就職・転職市場)の中で年収を上げやすい領域に参入すれば簡単にヨコ軸の右方向に移動できます。

 

また「ワークライフバランスを大事にできる」「技術者が技術を追求しやすい環境がある」といった自分の価値観とマッチした企業で働ければタテ軸の上方向への移動が楽になります。

 

いわばタテ軸とヨコ軸それぞれに基礎点のボーナスがつくような感じです。

 

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また「②適切なバリュー・プロポジション」と「④マーケットバリューの向上」は座標上の機動力をもたらします。

 

高いマーケットバリューとその提示力を持てば、多くの会社から必要とされるために社内での異動にしても社外への転職にしても、自分の希望・要望を通しやすくなります。

 

つまりこの座標上で自由に動けるようになります。

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この機動力は座標の右上に進みたい時にももちろん有用ですが、それだけではありません。

 

良いキャリアに関するエントリーで書いたように、ライフステージによってはしばしば「収入(上の図のヨコ軸)」と「価値観との合致度(上の図のタテ軸)」がトレードオフ、つまり一方を重視するともう一方が損なわれる関係になることがあります。

 

たとえば以下の例を考えてみます。

  • 今は年収は良いのだが就業時間が長い
  • 最近子供が生まれたので就業時間を短くしたい
  • しかし今の職場では働いた時間ベースで評価される

 

こういう時は収入と「就業時間を短く!」という価値観との間で適切なバランスをとる必要があるのですが、ここでマーケットバリューが低いとこうなります。

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一方マーケットバリューが高いと、より上方に動けるようになる。

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例えば「新しいスタッフを雇って残業を減らし有給をとりやすくしてください!それが無理なら辞めます!」といった要望が通ったりします。

 

こんな風に、逆説的ですが本来働きたくない人ほどマーケットバリューを高めておくべきなのです。

 

年収にこだわりがなくてもマーケットバリューを高めることが重要なのはここに理由があります。

 

 

ということで、ここまでの話をまとめると以下の図のようになります。

 

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今後このブログでは時々寄り道しつつ、この①〜④について個別のセオリーやテクニックを紹介していく予定です。

 

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